WordPressサイトをトラブルから救う!バックアップとリストア用プラグイン活用の心得とまとめ
WordPressで作成したサイトに限らず、サイトを長く運営すると、データが消えてしまった、バグってしまって元に戻せないというトラブルに巻き込まれることがあります。
そんな時は、事前に作成したバックアップからリストア(復旧)することになりますが、いざその時になって、バックアップデータが破損していてリストアができないということも。
WordPressには、バックアップとリストアが比較的簡単にできるプラグインが用意されています。
しかしプラグインの導入以上に重要なことは、バックアップやリストアなどを含めた運用全体の内容や手順を理解しているかということ。
ふだんからきっちりと管理や備えをして、いざとなったら落ち着いて元に戻せるように、トラブル発生の原因からバックアッププラグイン導入、リストアまで説明していきます。
目次
WordPressサイトが閲覧できない!トラブル発生の主な原因とは?
WordPressで公開中のWebサイトが突然停止してしまう時ほど、管理者にとりつらいことはありませんよね。
WordPressではPHPというプログラム、Mysqlというデータベースを利用しているため、HTMLのみのサイトよりも複雑なため、トラブルの原因となる要素が増えますが、主に下記のような原因があります。
- 災害によるサーバー機器やネットワークの損傷
- ウィルス感染などのセキュリティ事故
- プログラムの不具合
- 作業者の操作ミス (UNDOができない場合)
トラブル発生時のためにふだん準備してやっておく計画とは?
大規模サイトでは、最小限の被害で、できるだけ早く復旧することを目的に、BCP (事業継続計画)やDR (災害対策)のための設備や人員配置を事前に用意しています。
もちろん、サイトの規模が大きくない多くの企業ではそこまでの備えができないのが現状ですが、BCPやDRを実施するための要素は、WordPress管理の心得としても役に立ちます。
WordPressのバックアップを例に考えてみると、サイトの規模、役割、更新頻度などを踏まえて、下記のような視点で考えていけばよいでしょう。
- なに(全体のデータかデータベースだけか)
- いつ(タイミング、頻度)
- どこ(取得したデータをクラウド上に自動的に転送するか)
- どうやって(Webサーバーと同一場所に保存、FTP転送、Dropbox連携)
- いくら(プラグイン、保管費用、人件費)
- チェック(データは正しく取得できているか、ルールは守られているか)
WordPressのバックアップとリストア用プラグインを導入し効率的に運用する
トラブル対応の準備と方針が決まれば、Wordpressにはバックアップとリストアが比較的簡単にできるプラグインが用意されていますので、効率的な運用が可能になります。
代表的なプラグインを取り上げますので、それぞれの特徴をみていきましょう。
【事前にやっておこう!】
万一の場合に備え、WordPressに新規プラグインの導入前には、サイトデータの「バックアップ」を取っておきましょう。
BackWPup
このカテゴリーでは、最も有名なプラグインで、バックアップするための機能とメニューが充実しています。
バックアップデータの保存場所の設定
Webサーバーと同一の別フォルダーに保存する以外に、遠隔地の場所(FTPやDropboxなど)を指定できます。
サーバー機器が壊れるリスクを考えると、物理的に離れた場所に自動転送することが安心です。
バックアップしたデータを保存数の設定
どこにおくにしても、ストレージは有限なため、バックアップ数の上限の数を決める必要があります。
下図の例では15です。
この意味は、毎日バックアップをとっている場合は、最大15日分のデータが保管されます。
つまり毎日新規に1回分のデータが追加され、一番古いデータは自動的に削除される仕組みです。
バックアップ周期も、週単位や月単位に設定できるので、容量の少ないデータベースデータは毎日取得して90日分、ファイルも含めた容量の多いデータは、月1回を12か月といった運用が可能です。
リストア方法
このプラグインにはリストアの機能はなく、別途手動でおこないます。
方法は以下の通りです。
- バックアップした圧縮データを、自身でローカル環境に解凍する
- 基本的に全ファイル(フォルダー)をFTPでアップロードする
- データベースのデータは、別途phpMyAdmin等でインポートする
なお、この方法はWebサーバーやドメイン、データベースが従来と全く同様の場合ですので、異なる場合は、WordPressの設定ファイル(wp-config.php)やデータベースで調整が必要です。
その他、かなりの機能がありますので、実際にプラグインを触りながら、運用に合ったバックアップ設定を行いましょう。
UpdraftPlus
BackWPupと違い、リストア機能もついているのが特徴で、日本語化も進み、メニューはシンプルで、全体として使いやすい印象があります。
一部は有料オプションですが、基本機能を利用するだけなら、必須ではないでしょう。
バックアップデータ
全て一括ではなく、下図のようにデータベース、プラグイン、テーマ、アップロード(ファイル)、その他と別々にファイルが生成されます。
リストア
このプラグインを利用してのリストア手順は非常に簡単で下記のような手順です。
- WordPressを新規インストールする
- プラグインUpdraftPlusも新規インストールする
- UpdraftPlusのRestore(復元)メニューを選択する
- UpdraftPlusでバックアップした全てのデータを選択する
- 実行する
Duplicator
本来はレンタルサーバー移転など、WordPressサイトの引越用プラグインですが、手動でバックアップを取りさえすれば、上記のプラグイン同様バックアップとリストアに活用できます。
操作方法がシンプルでわかりやすい印象です。
バックアップの流れ
- 移転元のWordPressにDuplicatorをインストールする
- Duplicatorでサイト全体のファイルを作成する(InstallerとArchiveに分割)
- InstallerとArchiveをダウンロードする
リストアの流れ
- 移転先のルートディレクトリにFTPでInstallerとArchiveをアップロードする
- ブラウザで、http://domain.com/installer.phpにアクセスする(domain.comは例)
- 画面にそってリストアを進める
リストアでデータベースの指定がしっかりできる点が◎
移転やリストアでもっとも面倒なのがデータベースの整合性。
Duplicatorなら、移転元と移転先でデータベース(MySQL)の環境が異なる場合にでも、確実に設定できるのがよいですね!
All-in-One WP Migration
こちらも本来はレンタルサーバー移転など、WordPressサイトの引越用プラグインです。
サーバの関係で、Duplicatorが利用できない場合でも、使える場合があり、最小限のメニューと設定しかないため、簡単です。
バックアップの流れ
- プラグインAll-in-One WP Migrationを新規インストールする
- All-in-One WP MigrationのExportメニューを選択する
- All-in-One WP Migrationでバックアップしたデータをダウンロードする
リストアの流れ
- WordPressを新規インストールする
- プラグインAll-in-One WP Migrationも新規インストールする
- All-in-One WP MigrationのImportメニューを選択する
- All-in-One WP Migrationでバックアップしたデータを選択し、アップロードする
バックアップとリストアでの心得とまとめ
1. 復旧を含めたマニュアルの作成
記憶だけでは忘れ、あいまいになりますので、必ず文章として残すようにしましょう。
2. マニュアルを使用した実際の訓練とその記録
うまくいくか事前にテストするようにし、問題点や実施記録も文章として残すとよいでしょう。
3. 手順の見直し
サーバなどの環境によってうまくいかない場合もあるため、随時、補足事項を修正し、マニュアルに反映させていきましょう。
4. 専門家に相談
それでもうまくいかない場合には、プラグイン作者のサポートを受けたり、コミュニティ(フォーラム)でアドバイスをもらったり、あるいは専門のエンジニアに相談しましょう。
ここまでいかがでしたか。
組織でも個人でも、WordPress で管理しているWebサイトのデータは、大切な情報資産です。
バックアップをとることだけに満足せず、いざというときあわてずリストアできる体制を整えたいものですよね。