AI時代に校正技能検定は役に立つ?学習方法や講座の選び方を解説

AI時代の校正技能検定。元の文章とAI修正案を照合し、原則・営業日などの条件も確認

この記事の要点

  • 校正技能検定の内容と受験条件がわかる
  • AIで文章を作成・修正する際に、校正の知識がどう役立つかがわかる
  • 記事や広報物の品質を確認するための学習方法を選べる
  • 校正技能検定以外の講座について知ることができる

Webサイトに記事を公開する前に行う重要な作業が校正です。AIで文章を作成・修正する場合も、誤字脱字だけでなく、元の原稿の意味や条件が変わっていないかを確かめる必要があります。

その確認に役立つのが、原稿の引き合わせや表記のルールを学ぶことです。校正技能検定は、校正の基礎を体系的に学ぶ際の目標になります。

ここでは検定の内容や学習方法、講座の選び方に加え、学んだ知識を企業ブログやホームページの公開前チェックにどう活かせるかを解説します。

校正技能検定とは?

校正技能検定は、日本エディタースクールが1966年から主催・実施している校正の技能を認定する資格で、初級・中級・上級に分かれています。

実務経験がない人が「出版やWebメディアの仕事をしたい」と考えた時に、学んだ技能を示す手段となる資格といえるでしょう。

では、検定の詳しい内容について見ていきます。

校正技能検定の内容は?

校正技能検定は、前述したように3つの段階に分かれています。

初級試験ではなく単位認定。
日本エディタースクールの認定対象となる指定科目を修了すると初級認定される
中級実技3課題(210分間)
学科試験1課題・50分(校正に必要な知識、用字・用語に関する知識、一般的知識)
上級実技3課題(270分間)
学科試験1課題・50分(中級と同じ分野でより詳細な内容を問われる)

原稿の引き合わせ作業をメインとする実技試験が3時間超であることや、その日のうちに学科試験もあることからも、集中力と忍耐力が必要であることがわかります。

また、中級と上級の科目は同じですが、上級は内容がより細分化され、求められるレベルが大変高く、突破するには相当のスキルを要します。

校正技能検定を取得するメリットは?

校正技能検定を取得すると、以下のメリットが考えられます。

  • 日本語の表記や校正の基礎を体系的に学べる
  • 出版社・編集関係の会社への就職時に技能を伝える材料になる
  • 未経験でも文字校正の基礎を学んだことを示せる
  • 広報関連の仕事に役立てられる
  • 資料を作る際にどういった表現が適切かわかる

文字校正を仕事にしたいと考える人は少なくありませんが、実務経験を問われることが多いもの。

しかし、校正技能検定の中級・上級に合格することで実務経験がなくても一定の技能を示せるため、就職時のアピールにつながる可能性があります。

また、職場の広報物やプレゼン資料を作る際に、表記や文章の疑問点を確認する知識を活かせるのもメリットと言えるでしょう。

運営団体名日本エディタースクール
公式URLhttps://www.editor.co.jp/
住所〒101-0064 
東京都千代田区神田猿楽町2-1-14
TEL03-5577-3096

校正技能検定は校正の仕事に必要?他の職業に活かせる?

校正技能検定の資格は、校正の仕事に応募する際に技能を伝える材料になります。ただし、資格だけで受注が決まるわけではなく、実務経験やトライアルなどが求められる場合もあります。

また、前述したように校正の知識があると校正の仕事以外にも役立つ場面は多いと言えます。

  • 職場の広報物のチェック
  • 契約書や見積書、仕様書など法的な内容以外でも厳密性を求められるドキュメントのチェック
  • プレゼン資料の表現のチェック
  • 職場での重役の挨拶文のチェック

ペーパーレスの時代になろうとも、人前で話す機会がなくなるわけではありません。

上司や取引先、地域住民などへのプレゼンを求められることもあるでしょう。

また、メールやオンラインでの文字でのやり取りが多くなっているため、情報の正確性などについても校正技術があると、説得力のある言葉で考えを伝えることができます。

結論としては、「必須ではないが校正の知識として色々な仕事にいかせる資格」と言えるでしょう。

AI時代に校正技能検定は役に立つ?

AIに文章の作成や修正を頼めるようになった今、校正の勉強は必要なのかと感じる人もいるでしょう。

校正技能検定で学ぶ「原稿と照らし合わせる」「指定されたルールに沿って確認する」という技能は、AIの修正案を判断する時にも役立ちます。文章が読みやすくなっていても、元の意味まで変わっていないかを見る必要があるためです。

AIの修正案と元の文章を見比べる

たとえば、「原則3営業日以内に返信します」という文章が、AIの修正案で「必ず3日以内に返信します」となっていたらどうでしょうか。

読みづらい文章ではありませんが、「原則」が「必ず」に変わり、「営業日」という条件も抜けています。そのまま公開すれば、元の文章とは違う約束をすることになります。

こうした変化に気づくには、修正案だけを読むのではなく、元の文章や指定された条件と照らし合わせることが大切です。検定で取り組む原稿の引き合わせと共通する考え方と言えるでしょう。

表記のルールと事実関係を分けて確認する

企業名や商品名の表記、数字や単位の書き方などは、媒体や会社ごとにルールが決まっている場合があります。AIが提案した表記が、必ずしもそのルールに合っているとは限りません。

また、誤字脱字がないことと、内容が正しいことは別の問題です。AIで作成した説明に出てくる料金や制度、出典などは、公式資料と照らし合わせて確認する必要があります。

校正技能検定はAIの操作能力や、あらゆる分野の事実確認能力を認定する資格ではありません。校正の基礎に加えて、扱う分野の知識や資料を調べる力も必要です。

AIに校正を頼む時の簡単なプロンプト

文章を丸ごと書き換えずに気になる箇所を探したい時には、次のような頼み方もできます。

プロンプトの例: 

次の文章の誤字脱字と表記ゆれを探してください。意味や言い回しは変えず、該当箇所・修正案・理由を示してください。判断できない箇所は疑問点として挙げてください。

続けて対象の文章を貼り付けます。表記ルールがある場合は一緒に伝えると、何を基準にチェックしてほしいかを示せます。返ってきた指摘を確認する際にも、校正の知識を活かせるでしょう。

記事の公開前チェックに取り入れる

企業ブログやサービス紹介ページでは、原稿の確認だけでなく、WordPressに入稿した後の表示も見直します。次のように確認する対象を分けると、AIや外部ライターの原稿を受け取る際にも使えます。

  • 元資料との照合:商品名、料金、対象者、期限などが資料と一致しているか。
  • 表記の統一:社内の用語集や表記ルールに沿っているか。
  • 修正後の再確認:指摘が反映され、別の箇所の意味まで変わっていないか。
  • 入稿後の表示:見出し、表、画像の説明、リンク先に誤りがないか。

修正を依頼するときは、変更が必要な箇所と、執筆者に確認したい疑問点を分けて伝えましょう。校正を外注する場合も、事実確認やリンク確認をどこまで依頼するかを決めておくと、確認漏れを減らせます。

校正技能検定の学習方法

日本エディタースクールの校正技能検定を受検するには、前述したように一定の科目を修了していることや実務経験が求められます。

実務経験がない場合は科目修了を目指すことになりますが、それには以下の方法が挙げられます。

  • 日本エディタースクールで通学あるいは通信教育課程を受講する
  • 各種教育機関で一定の校正実技訓練を受け、受験資格を確認する

日本エディタースクールでは、全日制、夜間、土曜講座、通信などから学習方法を選ぶことができます。受講期間や学費はコースによって異なります。

通信課程の校正コースは基本8か月(4か月間延長可能)のカリキュラムが組まれ、学費は入学金を含めて55,000円(税込)です。通学が難しい方も自宅で学習できます。

中級と上級の勉強方法としては、通信課程を完了している前提であれば、検定前の対策講座に参加する、問題集を繰り返し解くということが基本になります。

ただ、校正技能検定に向けた勉強だけが文字校正の学習方法というわけではありません。

他にも文字校正を仕事とするのに必要な一定のスキル・知識を身につけられる講座や、オンラインセミナーがいくつか開催されています。

この後いくつかご紹介しますので、資格取得を目指すのか、日々の記事や広報物の確認に活かすのかに合わせて選びましょう。講座を受ければ必ず検定の受験資格を得られるわけではないため、認定対象かどうかも確認が必要です。

校正技能検定の受験概要

ここからは、試験の内容についてみていきましょう。

試験日程と試験場所・検定料

校正技能検定の初級は、校正技能検定委員会が認定した指定単位科目を修得すると取得できます。日本エディタースクールでは、対象講座の修了により初級が認定されます。

中級と上級は指定する試験会場で実技試験と学科試験が行われます。

中級試験は年2回、東京会場と関西会場の2ヶ所で行われ、上級試験は年1回、東京会場でのみ行われます。

各試験とも実施日の2か月前までに発表、受付開始となっています。

検定料

初級の認定につながる講座の受講料は、コースによって異なります。

中級・上級の試験料は次の通りです。

中級……8,800 円(税込)
準中級認定者の学科再受験…3,300円(税込)
上級……9,900 円(税込)

実技試験が一定基準に達し、学科試験のみ一定基準に達しない場合は準中級と認定されます。指定された期間内は学科試験のみを受験できるため、対象となる受験回は中級の受験案内で確認してください。

受験資格

受験資格は次の通りです。

初級学歴・年齢等に制限なし
中級①日本エディタースクールで所定のコースを修了したこと
②各種機関で一定の校正実技訓練を受けたこと、または校正の実務経験があること
①~②に準ずる者として校正技能検定委員会が認めたこと
上級中級試験を合格している者

試験時間と出題方式

中級・上級ともに実技試験と学科試験が行われます。

実技試験では、原稿の校正作業を行います。

試験時間

中級・上級の実技試験の内容と時間は次の通りです。

実技Ⅰ…縦組原稿引合せ
実技Ⅱ…横組原稿引合わせ
実技Ⅲ…縦組データ入稿の赤字引合せと通読(上級は再校赤字引合せ・素読み)

実技Ⅰ実技Ⅱ実技Ⅲ
中級90分60分60分
上級90分90分90分

その後、○×式および筆答式の学科試験が行われます。

こちらは、中級・上級どちらも50分の試験時間が設けられています。

出題範囲

中級・上級の学科試験の出題範囲は次の通りです。

  • 校正作業に必要な知識(編集・製作や校正作業に関する知識)
  • 用字・用語に関する知識(漢字、仮名づかいなど)
  • 一般的知識

詳しくは公式サイトの「日本エディタースクール」の校正技能検定試験の案内ページをご覧ください。
https://www.editor.co.jp/exam/

合格基準・合格率

中級・上級ともに実技試験・学科試験が一定の基準に達した場合、合格となります。

中級は、試験要項で85点前後以上を審査対象としています。

上級の試験要項には、合否基準となる具体的な点数は示されていません。

合格率は受験回によって異なります。実技と学科の両方に基準があるため、苦手な課題を把握しながら対策することが大切です。

校正講座・セミナーの選び方

前述したように、校正の知識や技術を磨くには校正技能検定以外の講座やセミナーに参加するという方法もあります。

以下に代表的なものを挙げてみましょう。

校正・校閲力養成講座

株式会社宣伝会議が提供するオンデマンド講座です。

申し込みから14日間受講でき、講座そのものの所要時間は約345分で、期間内なら自分の都合に合わせて視聴できることが大きなメリットです。

内容は専門知識だけでなく、消費者目線と発信者目線で同じものを見た時の違いなど広報・広告関連についての単元もあるということが特徴です。

出版・編集関係の職種以外にも広報やWeb担当者などを対象とした講座となっています。

学費は64,900円(税込)です。

広告や広報物など、日々の仕事で使う文章の校正を学びたい方に向いています。

宣伝会議「校正・校閲力養成講座」

鷗来堂の校正実践講座

校正・校閲の専門会社である鷗来堂が主催する校正・校閲の実務に耐えうる人材を育成する講座です。

受講資格は特に設けられておらず、未経験者も参加できます。書籍校正に重点を置き、組版や日本語表記のルールなどを学べることが特色です。

鷗来堂の講座紹介では、Zoomを使った全8回のオンライン講座で、個別の回を選んで受講することもできると説明されています。開催日程や費用は鷗来堂の公式サイトで案内されています。

ここでご紹介したものは、いずれも自宅から受講できる形式です。

都心部に住んでおらず、仕事に活かせる校正技術を身につけたい時に検討するのもおすすめです。

校正技能検定についてよくある質問

AIが校正してくれるなら、資格はいらない?

AIを使うために校正技能検定の資格が必要なわけではありません。ただ、AIの指摘が正しいか、元の文章の意味を変えていないかを判断する場面は残ります。原稿の引き合わせや表記のルールを体系的に学びたい人にとっては、検定を目標に勉強する意味があるでしょう。

AIに「間違いなし」と言われたら、そのまま公開してもよい?

それだけで正確な文章だとは判断できません。とくに人名や商品名、数字、引用などは、元資料と照らし合わせる必要があります。表記ルールへの適合と、書かれている事実が正しいかどうかも分けて確認するとよいでしょう。

独学だけでも中級を受験できる?

独学で勉強することはできますが、中級には受験資格があります。所定の講座の修了、一定の校正実技訓練、実務経験などが条件となるため、独学をしただけで誰でも受験できるわけではありません。自分の経験が条件に当てはまるか不明な場合は、主催者に確認できます。

校正技能検定を取れば、AIが書いた内容の正誤も判断できる?

資格を取っただけで、専門分野の内容まですべて判断できるわけではありません。文章の誤りや疑問に気づく力を学ぶことはできますが、制度や技術の説明などを確認するには、その分野の公式資料を調べたり、専門家に確認したりする作業も必要です。

学んだ校正の知識を日々の記事チェックに活かす

今回は校正技能検定についての詳しいご紹介を中心に、校正技術を身につけるにはどういった学習方法があるのかについてご紹介しました。

SNSやプレゼンなど、発信者となることが多い昨今、トラブル回避のためにも校正技術が役に立つことは多いはずです。

AIに文章の作成や修正を頼む場合にも、原稿と見比べて意味の変化や疑問点を見つける力は役立ちます。まずは自社の記事1本を、元資料・表記ルール・修正後の文章と照らし合わせてみましょう。迷った箇所を記録しておくと、講座で学びたい内容や、社内で共有すべき確認ルールが具体的になります。