C言語での副業はなぜ難しい?業務の種類と必要なスキルからわかるその理由

この記事の要点

  • C言語は2位のシェアを持つプログラミング言語で歴史が長く安定して案件がある
  • 組み込み、ソフトウェア開発、C言語の講師といった業務がある
  • クラウドソーシングでは案件が少ないため、転職やフリーランスエージェントの活用を
  • ETECやC言語プログラミング能力認定試験といった資格を活用しよう

2021年にPythonに抜かれてしまったものの、プログラミング言語で世界2位のシェアを持つ「C言語」

C言語は、メモリの管理を意識しコンピュータの深い箇所まで厳格に実装を行えるため、ハードウェアや組み込みの開発のみならず、さまざまな分野でも幅広く用いられます。

この記事では、このプログラミング言語「C言語」で副業をするときにどのような案件が多いのか、案件を受注するためにどのようなスキルが必要になるのかを解説します。

C言語とは

C言語とは、1972年にAT&Tベル研究所のデニス・リッチーという人物が主体となって開発した汎用プログラミング言語です。
元々はUNIXというLinux系OSの元となったソフトウェアを作る目的で開発されました。

低水準言語の一面を持つC言語は、PythonやC#などの高水準言語と違いメモリ管理が必要となりますが、その分他の言語より高速です。

また、C++やC#、Javaといった言語に派生しており、これらの言語をまとめて「C系」の言語と呼びます

C言語とC++やC#の違いとは

同じ「C」の名前を持つC++やC#との違いを説明します。

オブジェクト指向の有無

C言語とC++やC#の大きな違いとして、「オブジェクト指向を取り入れているかどうか」があります。
C言語はオブジェクト指向を取り入れていません。

オブジェクト指向は「クラス」を用いてプログラムを綺麗に分割しようといった考え方です。
ある変数とそれを利用する関数をまとめて一つのクラスとし、それを外部から利用することで、利用する側は簡潔に、かつセキュアにその機能を利用することが出来るというものです。

C言語はクラスを作ることが出来ませんが、C++では作ることができ、C#は作らないとプログラムが動作しません(全てをオブジェクトとして考える言語です)。

C++はC言語にいくつか機能が足されたもの

C++はC言語に様々な機能を足したものです。

例えば関数の引数や戻り値の型を可変にするテンプレートや、代入された値から自動的に型を設定する型推論といったものがあります。
元がC言語のため、メモリ等の知識がないと使いこなすことは困難です。

C#はC言語とは別物?

C#はマイクロソフトが開発した言語でDelphiという統合開発環境 (IDE) の開発者が設計しており、構文はC言語、C++、Java等の影響を受けています。

C#という名前はついていますが、C言語の影響は少なく、オブジェクト指向が強く意識されており、どちらかというとC++やJavaに近い言語と言えます。

C言語が利用される業務とは?

様々な用途があるC言語ですが、このC言語が業務でどう用いられているのでしょうか?
業務において必要なスキルも紹介します。

組み込み制御開発

家電製品や自動車といった小規模な計算処理を必要とする電子機器には、マイクロコンピュータ(マイコン)が組み込まれます。

マイコンは普通のPCと違い容量に限界があり、いかにメモリを効率よく用いるか、実行ファイルを小さくできるか、その制約下でどれだけ高速にできるか、といったことを意識してプログラムを書く必要があります

そのため、マイコン内のプログラムは、これらを満たすC言語で記述されることが多いです。

組み込み制御開発に必要なスキル

組み込み制御開発に必要なスキルは以下の通りです。

  • C言語の基本構文に関する知識
  • C言語のメモリ管理に関する知識
  • ハードウェアのメモリ構造に関しての知識
  • 英語力

C言語の基本構文やメモリ管理の知識は当然必要です。
そして、実用的なマイコンは初心者お断りといった仕様のものが多いです。

例えば「30を書いた後に1を書くとモニターが付く」といったことが膨大な英語のマニュアルの1ページに書いてあったりします。

もちろんインターネット上にそのマニュアルを要約したブログ等があることもありますが、業務レベルで用いるなら英語のマニュアルを直接読み、C言語を記述できるスキルが必要になります。

ソフトウェア開発

Linuxで使われるパッケージのGitHubを訪れると、C言語とC++で記述されたものが散見されます。
クラウドソーシングサイトで案件として募集が出ることは稀ですが、ソフトウェア開発の業務として存在します。

ソフトウェア開発に必要なスキル

ソフトウェア開発に必要なスキルは以下の通りです。

  • Linuxに関する知識
  • C言語とC++を記述できること
  • 大規模プログラムにおけるオブジェクト構造の知識

ソフトウェア開発ほどの大規模なものになってくると、オブジェクト指向のないC言語では汚いコードになってしまうため、C++のクラスまでは学習しておいた方が確実です。

C言語の講師

C言語はオブジェクト指向という概念がない、構文が基本的である、知名度が高いといった理由から、しばしばプログラミング初学者が最初に学習する言語に選択することも多いです。

そのため、C言語を教える講師の仕事もあります。

C言語の講師に必要なスキル

C言語の講師に必要なスキルは以下の通りです。

  • C言語の基本構文に関する知識
  • 競技プログラミングの能力
  • 思考の言語化能力
  • コミュニケーション能力

C言語は構文が非常に簡単ですので、カリキュラムによっては1週間程度で終了してしまいます。
しかし、それでは定着しないことがほとんどです。

Pythonなどの言語と違い、C言語だとウインドウを出してゲームを作るといったことが難しいです。
そのため、演習として「競技プログラミング」のように受講者に課題を与え、その問題を解説する能力があると教えやすいでしょう

もちろん、解説するには思考の言語化やコミュニケーション能力が必要になります。

C言語の副業探しは困難

ここまで、C言語について紹介しましたが、クラウドソーシングサイト上でC言語を用いた副業を探すことは困難です。

以下の画像のように、クラウドワークス上でのC言語を用いた開発業務(講師を省いています)
は1ヵ月に1、2件ほどで、副業とするには数が少ないのが現状です。

クラウドワークス「C言語」

転職や受託契約ならアリ

C言語を用いた副業が少ないのはC言語の需要が低いからではなく、専門性が高いためクラウドソーシング上で探しても良い人材が見つかりにくいからです。

その証拠に、2021年のプログラミング言語別の平均年収ではPythonやC#、JavaScriptを凌ぎ5位を獲得しています。

そのため、転職してC言語エンジニアになったり、信用を得やすいフリーランスエージェントを介しての業務受託を行うことで、高収入を狙うことが出来ます。

フリーランスエージェントに初めて登録するという方には、登録者が最も多く信頼できるエージェントであるレバテックを推奨します。

C言語のスキルアップや副業に役に立つ資格

C言語は難易度が高く、業務分野も多岐にわたることから、「C言語ができる」というアピールだけではクライアントに実力が伝わりにくいです。

実力を示すためにも、学習を効率よく進めるためにも、C言語のスキルアップに役に立つ資格が有用です。

ETEC(組込み技術者試験制度)

ETEC(組込み技術者試験制度)は、2006年に一般社団法人組込みシステム技術協会(略称「JASA」)が開発し運営する、組込み技術者向け試験制度です。

試験のレベルは、エントリレベルの「クラス2」とミドルレベルの「クラス1」が存在し、クラス2で500/800点を取るとクラス1を受験できます。

組み込みエンジニアにおける代表的な資格のため、案件獲得や転職に役立ちます

ETEC(組込み技術者試験制度)

C言語プログラミング能力認定試験

C言語プログラミング能力認定試験はC言語に関する知識を問われる試験です。

出題される内容は、3級、2級はマークシート形式の筆記試験、1級は事前に公開しているテーマプログラム(1,700行程度)に対する仕様変更などの実技試験になります。

合格の基準は、得点率が60%以上。
3級は内容が基礎的なため、外部に見せるものであれば2級以上の取得を推奨します

C言語プログラミング能力認定試験の試験概要

まとめ

プログラミング言語「C言語」に関して業務の種類や必要なスキル、資格などを紹介しました。

C言語は一見すると簡単で入門言語として最適ですが、メモリを操るため業務となると難易度が高く、しっかりとした習熟が必要となります。
ただしC言語を完璧に習得してしまえば、確実に転職や業務受託において武器になります。

良い収入と広いシェアを持つC言語を学習し、転職やフリーランスエージェントにチャレンジしてみてください。