情報処理安全確保支援士試験(SC)はAI時代の資格として役立つ?取得のメリット・デメリット

この記事の要点

  • 情報処理安全確保支援士は、生成AIの普及で重要性が増すセキュリティ関連資格の最高峰
  • 有資格者の在籍は、入札要件への対応や取引先からの信頼につながる
  • 取得支援には登録費用や法的義務など、企業が把握しておくべき維持コストもある

情報処理安全確保支援士試験(SC)」は情報セキュリティに関する資格の最高峰で、合格率が低く難易度は高いものの、取得できれば高度なスキルを証明できる資格です。生成AIの業務活用が当たり前になり、攻撃する側もAIを使う時代になったことで、セキュリティ人材への需要はかつてないほど高まっています。情報系唯一の「士業」として認められており、有資格者の在籍は自社のセキュリティ体制や対外的な信頼を示すうえでも評価の対象となります。
今回は、情報処理安全確保支援士試験(SC)の概要や、企業にとっての意義、メリット・デメリットについて解説します。

情報処理安全確保支援士試験(SC)とは?

情報処理安全確保支援士試験(SC)は副業に役立つ?取得のメリット・デメリット_sc

公式:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/sc.html

情報処理安全確保支援士試験(SC)」は、情報セキュリティに関する国家資格の1つです。
情報系の国家資格の中では、難易度は最難関の「レベル4」で、情報セキュリティに関する資格としては最も高レベルな試験です。
合格によって認定される「情報処理安全確保支援士」は、情報系唯一の登録性「士業」として認められており、有資格者が在籍していればセキュリティに関する高度な知識を組織として備えている証明になります。
技術的な知識に加え、教育やインシデントへの対応策の策定、組織内の情報セキュリティ規定の策定など、生成AIの利用ルールづくりやAIを悪用した攻撃への備えにも応用できる、幅広い業務を任せられるだけの知識が問われます。

情報処理安全確保支援士試験は、セキュリティ関係の資格としてはかなり難易度が高く、合格率の低い資格試験です。
令和四年度の合格率は20.2%と発表されており(引用:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験  推移表(平成21年度春期以降))、合格には十分な対策が求められます。

情報処理安全確保支援士試験(SC)は企業にとってどう役立つ?

情報処理安全確保支援士だけができる業務、というものはありませんが、AIの普及でリスクが拡大するなか、有資格者を社内に持つことは企業にとって大きなアドバンテージになります。

情報処理安全確保支援士は士業ではありますが、業務独占資格ではなく名称独占資格に該当します。
弁護士や司法書士などとは異なり、情報処理安全確保支援士にしかできない仕事、というものは存在しません。
しかし情報処理安全確保支援士は、情報セキュリティに関する資格としては国内最高峰の資格のため、有資格者が在籍していれば自社のセキュリティ水準を客観的に示せます。
定型的な調査や一次対応がAIで自動化される一方、最終的なリスク判断や責任を担える人材の価値はむしろ高まっており、有資格者の存在は取引先や顧客からの信頼獲得につながるでしょう。

企業で有資格者が力を発揮できる場面としては、以下のような業務が挙げられます。

  • 生成AI導入時のセキュリティ体制づくり・ガバナンス整備
  • セキュリティ診断・脆弱性対応(AIシステムや学習データの保護を含む)
  • インシデント対応や全社的なセキュリティ戦略の立案
  • 有資格者でなければできない業務、というものはありませんが、社内に資格保有者がいることで、AI時代に高度化するセキュリティ要件への対応力を高められます。

    情報処理安全確保支援士試験(SC)取得を支援するメリット・デメリット

    ここでは、企業が情報処理安全確保支援士試験(SC)の取得を支援するメリット・デメリットをご紹介します。

    情報処理安全確保支援士試験(SC)取得のメリット

    社員の情報処理安全確保支援士試験の取得を支援するメリットとして、以下のような点が挙げられます。

  • セキュリティの専門家として社内外で高い信頼性を示せる
  • 他の資格試験の一部免除
  • セキュリティの専門家として社内外で高い信頼性を示せる

    情報処理安全確保支援士試験(SC)は、セキュリティに関する最高峰の資格です。
    そのため、有資格者が在籍していれば社内外に高い信頼性を示せます。
    AIの活用でシステムが複雑になり、守るべき領域が広がるほど、確かな知識を裏づける資格の価値は高まります。
    政府調達の技術的入札要件や、行政職の入札要件としても利用されており、案件獲得の場面で企業の強みになります。
    社員の評価やキャリア形成につながるのはもちろん、組織としての市場価値を高めることにもつながるでしょう。

    他の資格試験の一部免除

    情報処理安全確保支援士試験に合格することで、その他の資格試験の一部試験が免除される場合があります。
    具体的には、以下のような試験が免除されます。

  • 「中小企業診断士の1次試験科目」
  • 「技術士試験の第一次試験の専門科目である情報工学部門」
  • 社員が他の資格取得を目指す際にも有益で、人材育成の面でもメリットがあります。

    情報処理安全確保支援士試験(SC)取得のデメリット

    社員の情報処理安全確保支援士試験の取得を支援するデメリットとして、以下のような点が挙げられます。

  • 登録料や維持費がかかる
  • 法的義務がある
  • 登録料や維持費がかかる

    情報処理安全確保支援士試験に合格したのち、士業として活動するには登録が必要になります。
    その際、登録や講習に際して費用がかかる、というデメリットがあります。

    例えば、以下のような費用がかかります。

  • 登録申請費用20,000円
  • 講習受講費用140,000円(3年間)
  • 企業として取得を支援する場合は、これらの費用を福利厚生や育成投資としてどう負担するか検討しておくとよいでしょう。
    費用以上のリターンが期待できる資格ではありますが、それなりの額になるということは覚えておきましょう。

    法的義務がある

    情報処理安全確保支援士になると、法的な義務が生じます。
    「秘密保持義務」や「信用失墜行為の禁止義務」など、普通に業務を行っていれば違反することはありませんが、機密情報を扱う場面では組織としても今まで以上に注意が必要になるでしょう。

    毎年の講習受講の義務も課せられており、受講せずにいると資格を失うことになってしまいます。
    受講の時間や費用は企業側でも見込んでおく必要がありますが、AIを悪用した攻撃のように技術の移り変わりが速い分野では、定期的に学び直せる仕組みがむしろ組織の強みになる側面もあります。
    信頼性が高い資格だからこそ縛りや義務が増える、ということは押さえておきましょう。

    まとめ

    この記事では、情報処理安全確保支援士試験が企業にとってどのような意義を持つかを解説しました。
    情報処理安全確保支援士試験は、情報系唯一の登録性士業で、セキュリティ関連では最高峰の資格です。

    有資格者でなければできない業務、というものはありませんが、社内に資格保有者がいることは、AI時代に重要性を増すセキュリティ対応力の高さを社内外に示す証明になります。
    生成AIの業務活用が広がるほどセキュリティ要件は厳しくなり、入札や取引先からの信頼など企業の競争力にも直結するため、人材育成やセキュリティ体制の強化を考える担当者は、社員の取得支援を検討してみると良いでしょう。
    支援にあたっては、合格後の費用や法的義務についても確認しておくことをおすすめします。