この記事の要点
- コストと手間を最小限にECサイトを作るなら構築サービスの利用がおすすめ
- 構築サービスにはショッピングモール型やショッピングカートASP、CMSなど種類がある
- オリジナル商品等を個人のECサイトで小・中規模販売からはじめたい場合はショッピングカートASP
- 大規模なオリジナリティあふれるECサイトを作りたい場合はCMS（ECパッケージ）
ECサイトを立ち上げたい場合に取れる手段は「1から自分で作るフルスクラッチの方法」と「ECサイトを作るために準備されているサービスを利用する方法」の2つがあります。
フルスクラッチでの構築は自由度が高いですが、ECサイト構築の知識が必要なため全く知識がない状態からのスタートだと手間と時間がかかってしまいます。
そのため、多くの方は「ECサイトを作るために準備されているサービスを利用する方法」を選択することになるかと思いますが、サービスにも種類があるため運営したいECサイトのイメージや欲しい機能に合わせて選択する必要があるでしょう。
今回は、ECサイト構築サービスを利用するメリットや、どのサービスを使ったらよいのかについて解説します。
目次
ECサイト作成時にEC専門の構築サービスを利用するメリットと構築方法の分類
「ECサイトの開発スキルがなく、コストもなるべく抑えたい」と考えている方にはEC専門の構築サービスの利用がおすすめです。
サービスを利用する主なメリットは以下が考えられます。
サービスを利用するメリット：コストを抑えられる
フルスクラッチ（システムをゼロからすべて自前で制作すること）の場合は、初期費用で数百万円、保守運用に月額数十万円かかることも珍しくありません。
構築サービスを利用すれば、初期費用・月額費用を抑えることができ、無料で利用できるサービスもあります。
どの構築サービスを利用するかによってコストは変わってきますが、費用を抑えてスピーディーに構築したい方におすすめです。
サービスを利用するメリット：開発スキルがなくてもECサイト構築が可能
ECサイト構築にはセキュリティ対策や決済処理、メンテナンス・アップデート、サーバーの管理など専門知識が必要です。
構築サービスを使えば、ECサイトに関してあまり知識がなくても自分のお店をインターネット上にオープンすることができ、サーバーの管理やシステムのアップデートなどの保守業務もサポートしてもらえます。
誰でも簡単に作れるため、今では構築サービスを利用するケースがほとんどになってきました。
構築サービスの分類
ECサイトの構築サービスには、主に3つのタイプがあります。
| 構築サービスの分類 | 特徴 |
|---|---|
| ショッピングモール型 | ひとつのECサイト上にショッピングモールのように多数のお店が集まっているサービス |
| ショッピングカートASP | 独自ドメイン（サイトのURL）を取得してサイトを運営でき、ECサイトの構築・運営に欠かせない機能が提供されているシステム |
| CMS（ECパッケージ） | 用意されている機能を使いECサイトを作成・構築していく仕組み |
構築サービスの分類ごとにおすすめのサービスを紹介していきます。
「ショッピングモール型」のおすすめサービス3選
ショッピングモール型のサービスは「ECモール」と呼ばれ、さまざまな店舗がインターネット上のショッピングモールに出店し店舗を運営しています。
ショッピングモール型の代表的なサイトである楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonの3つを紹介しましょう。
楽天市場
楽天会員ID数が1億個以上と多くの会員数を誇る楽天市場は圧倒的な集客力が魅力のECモールです。
現在の出店数は5万店舗あるとされ、平均月商は400〜500万円といわれています。
楽天市場の特徴
- 利用人数が多いので高い集客力がある
- ECサイト運用がはじめての人向けのサポートが充実している
- 初期費用は6万円、月額費用は19,500円～
- 売上が上がるほど手数料は下がる
Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングは初期費用や月の固定費が無料なので、手軽にお店をはじめられるECモールです。
Yahoo! JAPANが運営しており、Yahoo!プレミアム会員やLINE、PayPayなどの顧客基盤を強みとしています。
Yahoo!ショッピングの特徴
- 無料でお店をはじめられる（初期費用や月の固定費が無料）
- Tポイント原資負担、アフィリエイト手数料、各種決済手数料などの負担は必要
- 外部リンクや無料メールマガジンの配信も可能なので自由にプロモーションできる
Amazon
Amazonは日本国内だけでなく世界中の人にリーチできる、国内最大級の利用者を誇るECモールです。
出品方法の選択が可能で商品数ごとに手数料を支払う小口出品と月定額の大口出品があり、ECショップの規模に合わせて手数料を払います。
Amazonの特徴
- 登録から出品が簡単
- Amazon物流サービス（FBA）を利用すると商品の保存から配送・返品を代行してくれる
- 初期費用は無料、運用費用は小口出品プラン100円/商品・大口出品プラン4,900円/月
- 販売手数料は商品カテゴリによって異なり8％～15％
「ショッピングカートASP」のおすすめサービス5選
ショッピングカートASPはECサイトの運営に特化して行っているサービスのことです。
※ASPは「Application Service Provider」の略です
できるだけコストや手間を抑えたい方におすすめのショッピングカートASPのサービスを5つ紹介します。
BASE
BASEは無料で簡単にネットショップを構築できるネットショップ作成サービスです。
初期費用は無料。売れた時に手数料が差し引きされるので、月額固定費もなく気軽にショップをオープンできるので個人でECサイトを作りたい方には適しています。
BASEの特徴
- パソコンを使わずスマートフォンのみでECサイトが作れる
- クレジット決済やAmazonPayをすぐに導入できる
- 所在地などを公開せずにネットショップを開ける
- 決済手数料は、月額無料プランでは1商品につき売上の6.6%+40円、月額5,980円プランでは売上の2.9%
カラーミーショップ
カラーミーショップはGMOペパボ株式会社が運営する初期費用・月額費用の無料プランがあるネットショップ作成サービスです。
選べるプランは3つで、上位プランになると定額販売でクレジットカード決済が使用できます。
カラーミーショップの特徴
- 無料と有料のテンプレートから好きなものを選び、写真やテキストを編集するだけでECサイトが作れる
- 楽天市場やAmazonなどのシステムと連携可能
- 豊富な広告オプションで、集客や広告ができる
- 初期費用・月額費用無料のフリープランでは売れた時のみ手数料（売上の6.6%+30円/品）が発生
STORES（ストアーズ）
STORESは本格的なECサイトを無料ではじめられるネットショップ作成サービスです。
シンプルな操作画面でなおかつショップ運営に必要な機能が揃っています。
STORESの特徴
- 無料の40種類以上のテンプレートに写真やテキストを入れるだけでECサイトが作れる
- 写真や音楽、電子書籍などのデジタルデータの販売が可能
- メルマガや再入荷お知らせメールの送信が可能
- 料金プランは月額料金無料のフリープランと、2,178円のプランの2つ
Shopify（ショッピファイ）
Shopifyは世界的に有名なネットショップ作成サービスで、多言語や他通貨に対応していて日本語も利用できます。
初期費用は無料、月固定費はかかりますが3プランから選択できます。
作成できるECサイトは自由度が高くカスタマイズ性に優れていると言えるでしょう。
Shopifyの特徴
- テンプレートに写真やテキストを入れるだけで簡単にECサイトが作れる
- クレジットカードやキャリア決済など豊富な決済を導入できる
- 豊富な機能があり、カスタマイズ性に優れている
- 料金プランの初期費用は無料、月額固定費は25$
MakeShop（メイクショップ）
MakeshopはGMOグループが運営している9年連続国内流通総額第1位をキープする人気のネットショップ作成サービスです。
月額プランを小・中規模ネットショップ向けのプレミアムプランと、大規模ネットショップ向けのエンタープライズの2つのプランから規模に合わせて選択できます。
MakeShopの特徴
- テンプレートは100種類以上あり、そこに写真やテキストを入れるだけでECサイトが作れる
- HTMLとCSSだけで編集・作成できる独自デザインモードあり（デザインの外注も可能）
- プレミアムプランの初期費用は11,000円、月額固定費は11,000円
- エンタープライズプランの初期費用は11万円〜、月学固定費は55,000円
CMS（ECパッケージ）のおすすめサービス5選
CMSは「Contents Management System」の略で、テンプレートの画像やテキストを編集することによりオリジナルのサイトを作成できる管理サービスです。
大規模でオリジナリティの溢れる自由度の高いサイトを作りたい方におすすめの5つのサービスを紹介します。
ecforce
ecforceは平均年商2億円以上と言われる業界最高水準の法人向けECプラットフォームです。
システムのアップデートを頻繁に行い、サイトを常に最適化しているので売上向上に必要なあらゆる機能が揃っています。
ecforceの特徴
- 広告の管理や1クリック決済などマーケティングに優れている
- LP（ランディングページ）などのデザイン作成にある程度のコーディングスキルが必要
- オペレーションの自動化ができるので担当者の工数を削減できる
- 初期費用は14万8,000円～、月額固定費は49,800円～
EC-CUBE
EC-CUBEはオリジナリティ溢れる本格的なECサイトを作成できるネットショップ構築システムです。
メンテナンス要らずで手軽にはじめられるクラウド版と、自分のサーバに無料でインストールできるダウンロード版の2つの利用方法があります。
EC-CUBEの特徴
- 無料ではじめられ、ECサイトに必要な機能が揃っている
- 拡張プログラムを使うと専門的なプログラムが書けなくてもカスタマイズ可能
- 利用にはWebサーバー、PHP、データベース、レンタルサーバが必要
w2Commerce Value5
w2Commerce Value5は豊富な標準機能と強固なセキュリティを備えるECサイト構築サービスです。
中・大規模ECサイト向けなのでアクセスが集中した際の運用も安心できます。
w2Commerce Value5の特徴
- 販促や広告など800種類以上の豊富な機能が揃っているため、カスタマイズが可能
- 会員サービスを行う機能があり、売上成長率の増加が望める
- セキュリティやインフラが強固
- 初期費用は300万円、月額固定費は15万円～
Welcart
WelcartはWordPress専用のネットショップ構築プラグインです。
WordPressサイトにプラグインを追加するだけなので無料で簡単にECサイトを作れます。
Welcartの特徴
- WordPressとの組み合わせでSEOに強いECサイトの作成が可能
- 会員機能やクレジット決済サービスが標準装備
- さまざまなWordPressテーマを使用すればオリジナルのデザインサイトが作れる
- 初期費用は無料、手数料はどの決済サービスを利用するか月額固定費の有無が異なる
osCommerce
osCommerceはオープンソースのECサイト構築アプリケーション で、ECサイトの構築や運用、メンテナンスが行えます。
欧米を中心に作成されたパッケージのため、機能やカスタマイズなどを使いこなすためにはある程度の英語力が必要です。
osCommerceの特徴
- サイト構築の労力が減り、素早いECサイトの作成が可能
- 9,000種以上の拡張機能を使用して自分の好みのサイトを作れる
- ベースはPHPで書かれているのでコーディングの知識が必要
- 利用料は無料だが、使用にはレンタルサーバとデータベースが必須
ECサイトの構築方法・サービスの選び方
構築サービスの分類ごとにサービスを紹介しました。
次は、どの構築方法やサービスを選ぶべきかという選び方を解説します。
ECサイトの構築方法選びのポイント
まずはECサイトの構築方法を「ショッピングモール型」「ショッピングカートASP」「CMS（ECパッケージ）」の中から自分の目的に適したものを選択する 必要があります。
それぞれどんな方におすすめなのかを紹介しますので参考にしてください。
| ショッピングモール型を選ぶべき人 |
|
|---|---|
| ショッピングカートASPを選ぶべき人 |
|
| CMS（ECパッケージ）を選ぶべき人 |
|
サービス選びのポイント
どの構築方法を利用する場合でも手数料と機能充実度、サポートの有無は必ず確認 しましょう。
一度ECサイトの運営をはじめたら長く利用する場合が多いので、自分が運営したい機能を備えたECサイトが構築できるサービスを選んでください。
手数料
ECサイト運営には初期費用と運営費用がかかる場合がほとんどです。
どれくらいの売り上げが見込めるかを予測して、かけられる予算を決定しましょう。
運用費用が無料の場合でも、決済サービス利用時の手数料やアイテム数増による追加料金が発生する ことがありますので契約の前に料金についてはきちんと調べることが必要です。
機能充実度やサポートの有無
構築サービスによって標準で揃っている機能が異なります 。
使いたい機能が付いているか、またはカスタマイズで追加できるかをチェックしましょう。
構築サービスによっては、ECサイト構築の代行やデザイン作成、広告運用を行ってくれるサービスもあるため、利用を考えている場合はサポートの有無も確認が必要です。
まとめ
ECサイト構築サービスを利用するメリットや構築方法・各サービスの特徴について紹介しました。
最後に、各サービスについて、簡単にまとめてみましょう。
| 構築分類 | サービス名 | 初期費用 | 月額費用 | 対応年商 | 構築難易度 |
|---|---|---|---|---|---|
| ショッピングモール型 | 楽天市場 | 6万円 | 19,500円～ | 500万円〜 | 低 |
| Yahoo!ショッピング | 無料 | 無料 ※決済手数料などは発生する | 低 | ||
| Amazon | 無料 | 4,900円 ※大口出品プランの場合 | 低 | ||
| ショッピングカートASP | BASE | 無料 | 無料〜 ※決済手数料などは発生する | 低 | |
| カラーミーショップ | 無料 | 無料〜 ※決済手数料などは発生する | 500万円〜 | 低 | |
| STORES（ストアーズ） | 無料 | 無料〜 ※決済手数料などは発生する | 低 | ||
| Shopify（ショッピファイ） | 無料 | 25$〜 | 低 | ||
| MakeShop（メイクショップ） | 11,000円〜 | 11,000円〜 | 1,000万円〜 | 中 | |
| CMS（ECパッケージ） | ecforce | 14万8,000円～ | 49,800円～ | 2億円〜 | 中 |
| EC-CUBE | 無料 ※ECサイト構築には構築費用がかかる | 無料 | 高 | ||
| w2Commerce Value5 | 300万円 | 15万円～ | 1億円〜 | 高 | |
| Welcart | 無料 | 無料 ※決済手数料などは発生する | 中 | ||
| osCommerce | 無料 | 無料 ※レンタルサーバなどは発生する | 高 |
※「構築難易度」の補足
高→ サイト構築などができる方向け
中→ WordPressの記事投稿ができる方向け
低→ はじめてECサイトを構築する人向け
運営したいECサイトの規模や取り扱う商品により使うべき構築サービスは異なります。
そして、一度構築したECサイトを他の構築サービスなどに移設、リプレースする作業は非常に手間と時間がかかります 。
機能や予算、目標年商、取り扱い商品数、必要な決済方法等、どのような機能が必要かしっかりと整理したうえで自社にあった構築サービスを選択するようにしましょう。
