この記事の要点
- 個人事業主は税務署に開業届を出した人のこと、フリーランスは開業届を出していない人のこと
- 働き方を自分で決められ、収入を増やせる可能性がある一方で、社会的な信用を得にくく収入が不安定になる可能性もある
- 開業届は個人事業主として仕事を開業してから1か月以内に提出する
様々な働き方の選択肢が増えてくる中で、フリーランスや個人事業主となることを考えている方もいるかと思います。
以前、フリーランスライターの方のテレワーク体験談をご紹介していました。
ところで、フリーランスと個人事業主はどのような違いがあるのでしょうか。
また、フリーランスや個人事業主となることのメリットとデメリットには、何があるのでしょうか。
個人事業主となる場合には必要な書類があるため、どのようなものがあるか確認しておきましょう。
目次
フリーランスと個人事業主の違い
会社員のように組織に所属せず働くのが、フリーランスや個人事業主です。
この両者は一見すると似ていますが、ある側面から見るとまったく異なる存在です。
フリーランスは税務上の定義がない言葉ですが、個人事業主は税務上の言葉として認識されています。
そのため、税務署に開業届を出した人は個人事業主、開業届を出していない人はフリーランスと分類されます。
フリーランスとは
フリーランスという言葉は、所得税や法人税などの税法に一切存在しない言葉です。
したがって、どのような人がフリーランスかを考えた場合、フリーランスとはこうだという定義はありません。
フリーランスは、自身のスキルや能力を活かして、特定の組織に属さずに仕事をする人のことです。
個人事業主も、特定の組織に属していないという点は変わりありませんが、個人事業主には大きな特徴があります。
個人事業主とは
個人事業主も、会社に属さずに自身のスキルを活かして仕事をしていることに、変わりはありません。
フリーランスとの大きな違いは、税務署に対して開業届を提出していることです。
これは、個人事業主は税法上の言葉として定義されており、税務上の意味を持つ存在だからです。
こうして、フリーランスは開業届を出していない人、個人事業主は開業届を出した人という区分ができます。
フリーランスや個人事業主として働くメリット・デメリット
フリーランスや個人事業主として働くメリットとデメリットは、以下のようになっています。
フリーランスや個人事業主のメリット
まずはフリーランスや個人事業主のメリットについて解説します。
働く時間やペースを自分で決められる
フリーランスや個人事業主として働くメリットとしてまずあげられるのは、働き方が自分で決められることです。
何としても稼ぎたいと考えるのであれば、24時間365日、極力休まずに働くことができます。一方、働く時間を減らして週休3日にする、仕事は午後から始めるなどといったことも可能となります。
収入が増える可能性がある
また、自身のスキルを活かして収入を増やせる可能性がある点もメリットです。
会社員の場合は、どれだけ仕事をしても、決められた給与テーブルがあるため、大きく増えることはありません。
しかし、フリーランスや個人事業主の場合、仕事を多くこなせば、その分収入を増やすことができます。
節税対策ができる
フリーランスや個人事業主の場合、節税はしやすくなります。それは、事業用に購入したものはすべてが必要経費になっているためです。
中には、事業用とプライベート用のいずれで使うか判断が難しいものもあるかもしれません。
しかし、フリーランスや個人事業主が事業に使うものであれば経費となり、節税効果を持つこととなります。
フリーランスや個人事業主のデメリット
次に、フリーランスや個人事業主として働くデメリットを解説します。
収入が不安定になる可能性がある
フリーランスや個人事業主のデメリットとして、まず収入が不安定になる点があります。
会社員のように毎月決まった給料をもらうわけではないことから、収入が減ってしまうことも考えられます。
極端なことをいえば、仕事が全くなくて収入がゼロになることも起こり得るということです。
社会的な信頼を得にくい
次に、フリーランスや個人事業主は社会的な信用を得にくいことがあげられます。
その結果、銀行でお金を借りようとしても借りられない、新たな取引先が見つからないなどのトラブルが考えられます。
このようなトラブルを避けるためには、銀行や取引先と話し合いを行わなければなりません。
また、長年フリーランスや個人事業主を続けていても、必ず信用を得られるというわけではないので注意しましょう。
社会的保険料が下がる
さらにデメリットとなるのが、社会保険に関するものです。
フリーランスや個人事業主の方は、厚生年金に加入することができず、国民年金に加入することとなります。
しかし国民年金に加入した場合、満額でも年間78万円程度しかもらえず、その保障は非常に貧弱と言わざるを得ません。
個人事業主になるには?開業届を提出する流れ
フリーランスが個人事業主になるには、開業届を税務署に提出しなければなりません。
また、開業届を提出すると同時に、他にも提出した方がいい書類があります。
では、これらの書類を提出する際の流れを確認しておきましょうす。
開業届
税務署に提出する開業届は、個人事業主として仕事を開業してから1か月以内に提出するものとされています。
ただ、この届出書の提出が遅れたとしても、そのことで罰則を受けるわけではありません。
青色申告承認申請書
個人事業主となり、青色申告の適用を受けようとする人は、開業届とは別の書類も準備が必要です。
青色申告書で申告しようとする年の3月15日まで、あるいは事業開始の日から2か月以内に、青色申告承認申請書を税務署に提出しなければなりません。
その他の書類
家族に支払った費用を給与として必要経費に含めるには、青色事業専従者給与に関する届出書が必要です。
また、給与の支払を始める時は、給与支払事務所の開設届が必要となります。
さらに、従業員の数が10人未満であれば、源泉所得税の納期の特例に関する申請書を提出できます。
フリーランス向け保険ならフリーナンスがおすすめ
フリーランスは、個人事業主よりさらに仕事の面、健康の面で不安定な状況となってしまう場合があります。
そこで、万が一のための補償を、フリーランス自身で準備しておく必要があります。
そこで利用できるのが「フリーナンス」です。
フリーナンスは、フリーランスの方に特化した金融サービスです。
これまで、何の補償もなかった業務中や成果物から生じる損害賠償について、保険が適用され補償を受けられます。
また、売上金額を早期に現金化できるサービスも利用でき、安定した資金繰りにもつながると期待されています。
まとめ
フリーランスとして働く人は、個人事業主よりさらに自由な働き方をしているケースが多いでしょう。
その一方で、いざという時の補償はなく、綱渡りのような状態にある方もいるのではないでしょうか。
そこで、ここで紹介したフリーナンスを利用して、安心して事業を継続できるような体制にしておきましょう。
また、開業届を提出して青色申告を利用するメリットはないか、考えておく必要があります。
そして2023年10月1日から消費税のインボイス制度が開始されることもあり、課税売上が1,000万円以下で消費税の免税事業者となっている個人事業主は、インボイスを発行するかどうかも考える必要があります。
インボイス制度により、具体的にどのような影響があるのか、解説していますので参考にしてください。