この記事の要点
- PHPフレームワークとは、PHPでアプリケーション開発をするための枠組みのこと
- PHPフレームワークを使えば、コードの規則化や開発工数を効率化ができる
- 初心者におススメのPHPフレームワークはLaravel・CakePHP・CodeIgniter
以前、PHPの仕組みや学習方法など、PHPの基礎についてご紹介していました。
初心者プログラマーでも学習しやすいPHPですが、PHPフレームワークを使えるようになれば、受注できる仕事がさらに広がります。
とはいえPHPフレームワークにはさまざまな種類があり、「検索したけどよくわからない・・・」という人も多いのでは?
この記事では、2022年最新のPHPフレームワークベスト10、さらに、初心者におススメの3つをご紹介します!
目次
PHPフレームワークとは?
PHPフレームワークとは、PHPを使用したWebアプリケーション開発を効率化するための枠組みのことです。
PHPコードの書き方や処理のアプローチの方法は、プログラマー個人によって異なります。
多人数で開発を行う場合、人によってバラバラのPHPコードでは、不具合が起きたときやメンテナンスの際に煩雑です。
これを解決するのが、PHPフレームワークです。
PHPフレームワークには、テンプレートやクラス、ライブラリなどが用意されています。
それらを活用することにより、プログラマー1人1人の工数を減らし、アプリケーション開発を効率的に進められるのです。
PHPフレームワークを使うメリット・デメリット
PHPフレームワークを使うメリットとデメリットについてご説明します。
メリット
フレームワークを使用すれば、プログラマーによって異なるPHPコーディングをある程度統一し、規則化することができます。
また、ライブラリを活用すれば、開発工数を効率化できるほか、初歩的な不具合(バグ)を減らすことができます。
デメリット
PHPフレームワークを活用できるようになるためには、PHPの学習だけでなくフレームワークのための学習も必要です。
それなりに時間と労力が必要になることは留意しておきましょう。
また、フレームワークを使えば「なんとなく」でも成果物ができてしまうため、言語スキルが身につかない場合があります。
フレームワークに依存しすぎないよう心がけることが大切です。
グーグルトレンドと求人数から見る今人気のPHPフレームワーク10選
グーグルトレンドでの検索数から見たPHPフレームワークのランキングのなかから、10個を厳選してご紹介します。
Laravel
PHPフレームワークのなかでも群を抜いて人気なのが、Laravel(ララベル)です。
リリースは2011年と比較的新しいものの、拡張性の高さ、使い勝手の良さなどから、近年では世界的に注目されています。
PHP言語スキルを持っている人であれば比較的簡単に習得できますが、初心者の学習コストとしてはやや高めです。
開発規模が小さいものから大きいものまで対応可能、案件数も豊富。
近年も頻繁にアップデートが行われていることから、将来性の高いフレームワークと言えます。
CakePHP
「CakePHP」(ケイクピーエイチピー)は、2005年にリリースされ、2017年まで日本でもっとも人気のあったフレームワークです。
現在はLaravelにトップを奪われたものの、今も根強い人気を誇っています。
CakePHPはコーディング規約がとても厳しいことで有名で、規約から少しでも外れたコードは書けない仕組みになっています。
そのため学習コストはやや高めですが、日本語ドキュメントが豊富に用意されているので、学習はしやすいでしょう。
開発スピードが速いため、高速開発や小規模開発のシステムに適しています。
Symfony
「Symfony」(シンフォニー)は、2007年にリリースされた中規模から大規模開発向けのフレームワークです。
「バンドル」と呼ばれる独特の概念を持ち、やや複雑な構造になっているため学習コストはやや高め。
豊富なコンポーネントを有し、拡張性も高いため、セキュリティ性の高い安定したシステム構築が可能になっています。
近年人気の「Laravel」は、Symfonyをベースに作られています。
Symfonyの実績が高く評価された結果と言えます。
FuelPHP
「FuelPHP」(フューエルピーエイチピー)は、2011年にリリースされたシンプルかつ速度重視のフレームワークです。
「規約より設定 (configuration over convention) 」がコンセプトで、自由度の高いコーディングが可能。
小・中規模の開発に適しています。
比較的短期間で使いこなせるため学習コストは低く、初心者にも扱いやすいフレームワークです。
ただし、自由度が高いぶんコーディング量が増える傾向があるので、初心者は注意しましょう。
Codelgniter
「CodeIgniter」(コードイグナイター)は、2006年にリリースされた軽量で自由度の高いフレームワークです。
日本での知名度は低めですが、世界中の開発者から扱いやすいと人気があります。
豊富なライブラリやプラグインはなく、必要な機能のみ備わっているのが特徴。
他のフレームワークのように「痒いところに手が届く」ものではありませんが、自由にカスタマイズしたコーディングができます。
機能が絞り込まれているため学習コストが低く、PHPフレームワークに不慣れな初心者にも安心です。
Phalcon
「Phalcon」(ファルコン)は、C言語で作られたフルスタックのフレームワークで、2012年にリリースされました。
テストマネジメントツール「Zephyr」(ゼファー)をPHP拡張機能として実装し、超高速かつ省メモリを実現しています。
自由度が高い構造になっており、プロジェクト規模に応じた開発に対応できます。
学習コストも低めですが、比較的新しいフレームワークのため、日本語に対応したドキュメントが少ないのが難点です。
Yii
「Yii」(イー)は、2008年にリリースされた軽量でコンポーネントベースのオブジェクト指向型フレームワークです。
「Yii」とは「Yes It Is!」 の略であり、日本での知名度は低いですが、高負荷が想定されるような大規模開発に適しています。
公式サイトにはさまざまな拡張ツールが用意されており、開発しやすくカスタマイズできるようになっています。
学習コストはそれほど高くないものの、日本語に対応したドキュメントが少ないので注意が必要です。
ZendFramework
「ZendFramework」(ゼンドフレームワーク)は、PHP開発本家であるZendTechnologies社が開発したオブジェクト指向のフレームワークです。
2007年に初版、2016年にバージョン3までリリースされました。現在ZendFrameworkのサポートはすでに終了し、「Laminas Project」(ラミナスプロジェクト)として機能が引き継がれています。
ZendFrameworkはPHPフレームワークのなかでも歴史が古く、多くの導入実績を持っています。
シンプルかつ柔軟な構造体系、拡張性の高さから人気がありましたが、現在、新規開発は少ないと考えてよいでしょう。
改修案件のために、身に付けておいて損はないフレームワークです。
Silex
「Silex」(サイレックス)は、PHPフレームワーク「Symfony」をベースとしたマイクロフレームワーク(※必要最低限の機能のみを搭載している軽量のフレームワーク)です。
構造が明快で学習コストが低いほか、導入も簡単なので、小規模開発に向いています。
フレームワークとしての機能は「Composer」(コンポーザー)と呼ばれるパッケージ管理システムを経由して行われるのが特徴です。
開発およびサポートは2018年に終了しています。
Slim
「Slim」(スリム)は、その名のとおりスリムな構造のマイクロフレームワークです。
メイン処理は、HTTPリクエストを受け取り、適切なHTTPレスポンスを返す「HTTPルーティング」。
そのほかにも、処理の前後のフィルタリング機能やエラー機能などが提供されています。
軽量かつ学習コストが低いことから人気が高く、2019年には最新バージョン4がリリースされています。
初心者におすすめのPHPフレームワーク3選
さまざまなPHPフレームワークをご紹介しましたが、初心者におススメのものを3つ厳選してご紹介します。
おすすめ1:Laravel
初心者がPHPフレームワークを始めるなら、まずはLaravelにするべきでしょう。
Laravelは、コードが分かりやすいので初心者でも学習がしやすいのが特徴です。
さらに特筆すべき点として、Laravelには独自の「Homestead」という機能が備わっています。
Homesteadとは開発環境構築ツールのことで、手間がかかる開発環境の構築を簡単に行うことができる優れモノです。
Laravelの使い勝手や将来性もさることながら、注目すべきは求人の案件数です。
試しに、「レバテックフリーランス」(https://freelance.levtech.jp/)をフリーワード「Laravel」で検索してみます。
2022年7月時点で、1,426件もの結果が該当しました。
比較のため、「CakePHP」で検索すると507件、「CodeIgniter」で158件でした。
Laravelの案件数が非常に多いことが分かります。
学習がしやすく、仕事もたくさんあるLaravelは、初心者が最初に習得すべきPHPフレームワークです。
おすすめ2:CakePHP
初心者におススメのフレームワーク2つめは、CakePHPです。
人気度はLaravelに劣るものの、今も根強く支持されており、安定した機能と案件数、そして実績があります。
CakePHPには、独自の「bake」という便利な機能が備わっています。
bakeコマンドを実行すると、MVCモデルにおける「Model」「View」「Control」の各部品を自動生成します。
プログラマーは生成された部品に処理を記述すればOK。
学習コストは高めながら、仕組みをマスターしてしまえば、非常に快適にコーディングを進められます。
ちなみに、CakePHPの「Cake」はスウィーツの「ケーキ」を指しています。そして「bake」は「焼く」の意味。名前がユニークで覚えやすいですね。
おすすめ3:CodeIgniter
初心者におススメのフレームワーク3つ目は、CodeIgniterです。
LaravelやCakePHPが「職人向け」だとすると、CodeIgniterは「一般向け」。
PHPを少し学習した、あるいはワードプレスを触ったことがあるレベルの人でも、それほど苦労なく使うことができます。
開発に必要な機能のみが備わっているため、独自機能は少なく、規則に捉われない自由なコーディングが可能です。
CodeIgniterの案件数は一定数ありますが、残念ながらLaravelやCakePHPほどの勢いはありません。
PHP技術者として腕を磨くなら、さらにもう1つ、別のフレームワークも学習しておくと安心です。
まとめ
2022年最新のPHPフレームワークベスト10と、初心者におススメのPHPフレームワークを3つご紹介しました。
PHP技術者としてシステム開発に携わっていくためには、PHPフレームワークを使いこなせることが絶対条件です。
学習コストや開発規模などを考慮し、どのPHPフレームワークを学ぶべきかをしっかり検討しましょう。
複数の種類のPHPフレームワークを習得しておくと、仕事の幅が広がります。
PHP技術者として、さまざまなPHPフレームワークを使いこなせるようになりましょう!