校正技能検定は校正の副業に役立つ?学習方法や講座の選び方を解説

この記事の要点

  • 校正技能検定について詳しい情報が得られる
  • 文字校正を仕事にしたい時、どういった学習方法があるのかを知ることができる
  • 校正技能検定以外の資格、講座について知ることができる

Webサイトに記事を公開する前に行う重要な作業が校正です。

文字校正では、誤字脱字や文章のつながりの整合性、書体や文字サイズだけではなく、文章の内容を必要に応じて修正し、修正箇所がなくなるまで繰り返す必要があります。

校正技能検定とは、そうした文字校正のスペシャリストとして認定されるための検定です。

ここでは、この検定がどういう内容のものなのか、文字校正の仕事や副業を行う際にどう役に立つのかについて解説していきます。

校正技能検定とは?

校正技能検定は、日本エディタースクールが1966年から主催・実施している日本唯一の資格で、初級・中級・上級に分かれています。

実務経験がない人が「出版やWebメディアの仕事をしたい」、「副業で校正の案件をやりたい」と考えた時に強い味方となる資格といえるでしょう。

では、検定の詳しい内容について見ていきます。

校正技能検定の内容は?

校正技能検定は、前述したように3つの段階に分かれています。

初級試験ではなく単位認定。
大手前大学、実践女子短期大学、日本エディタースクールの指定科目を修了すると初級認定される
中級実技3科目(210分間)
学科試験3科目(校正に必要な知識、用字・用語に関する知識、一般的知識)
上級実技3科目(270分間)
学科試験3科目(中級と同じ科目でより詳細な内容を問われる)

原稿の引き合わせ作業をメインとする実技試験が3時間超であることや、その日のうちに学科試験もあることからも、集中力と忍耐力が必要であることがわかります。

また、中級と上級の科目は同じですが、上級は内容がより細分化され、求められるレベルが大変高く、突破するには相当のスキルを要します。

校正技能検定を取得するメリットは?

校正技能検定を取得すると、以下のメリットが考えられます。

  • 正しい日本語を使いこなすことができるようになる
  • 出版社・編集関係の会社への就職が有利になる
  • 未経験でも文字校正の仕事を問題なく受けられるようになる
  • 広報関連の仕事に役立てられる
  • 資料を作る際にどういった表現が適切かわかる

文字校正を仕事にしたいと考える人は少なくありませんが、実務経験を問われることが多いもの。

しかし、校正技能検定をパスすることで実務経験がなくても一定のトレーニングを受けたとみなされ、就職に有利に働きます

また、職場の広報課やプレゼン資料などを作る際にも適切な文章を作成できるようになるのは大きなメリットと言えるでしょう。

運営団体名日本エディタースクール
公式URLhttps://www.editor.co.jp/
住所〒101-0064 
東京都千代田区神田猿楽町2-1-14
TEL03-5577-3096

校正技能検定は校正の仕事に必要?他の職業に活かせる?

校正技能検定の資格を持っていると校正の仕事を受注しやすくなることは言うまでもありません。

また、前述したように校正の知識があると校正の仕事以外にも役立つ場面は多いと言えます。

  • 職場の広報物のチェック
  • 契約書や見積書、仕様書など法的な内容以外でも厳密性を求められるドキュメントのチェック
  • プレゼン資料の表現のチェック
  • 職場での重役の挨拶文のチェック

ペーパーレスの時代になろうとも、人前で話す機会がなくなるわけではありません。

上司や取引先、地域住民などへのプレゼンを求められることもあるでしょう。

また、メールやオンラインでの文字でのやり取りが多くなっているため、情報の正確性などについても校正技術があると、説得力のある言葉で考えを伝えることができます。

結論としては、「必須ではないが校正の知識として色々な仕事にいかせる資格」と言えるでしょう。

ネット環境とPCがあれば手軽にはじめられる副業として、近年はWebライターが人気です。
はじめることこそ容易であっても、稼げる人と稼げない人には大きな差があります。

校正のスキルを見つけて、一段階上のWebライターを目指してみましょう。

Webライターの副業で稼げる人と稼げない人のスキルと案件選びの違いとは?

校正技能検定の学習方法

日本エディタースクールの校正技能検定を受検するには、前述したように一定の科目を修了していることや実務経験が求められます。

実務経験がない場合は科目修了を目指すことになりますが、それには以下の方法が挙げられます。

  • 日本エディタースクールで通学あるいは通信教育課程を受講する
  • 大手前大学、実践女子短期大学で所定の科目を修了する

校正技能検定は日本エディタースクールで主催しているものですので、基本的にはこの二つが学習方法として挙げられます。

ここに挙げた教育機関では通学方法も全日制(5か月間)、短期、夜間、通信など選ぶことができますが、短期、夜間は、学費が40万円弱と高額なのがデメリットと言えます。

通信課程は基本8か月(4か月間延長可能)のカリキュラムが組まれ、学費も50,280円と手ごろになっていますので、副業や在宅で校正をしたい方はこちらがおすすです。

中級と上級の勉強方法としては、通信課程を完了している前提であれば、検定前の対策講座に参加する、問題集を繰り返し解くということが基本になります。

ただ、校正技能検定だけが文字校正の仕事を受ける時に役立つ資格というわけではありません。

他にも「校正士」という認定資格を取得できるもの、文字校正を仕事とするのに必要な一定のスキル・知識を身につけられる講座や、オンラインセミナーがいくつか開催されています。

この後いくつかご紹介しますので、その中から希望するレベルに合わせて学習することが可能です。

校正技能検定の受験概要

ここからは、試験の内容についてみていきましょう。

試験日程と試験場所・検定料

校正技能検定は、初級は各教育機関(大手前大学,実践女子短期大学,日本エディタースクール)において、指定単位科目を習得すると取得できます。

中級と上級は指定する試験会場で実技試験と学科試験が行われます。

中級試験は年2回、東京会場と関西会場の2ヶ所で行われ、上級試験は年1回、東京会場でのみ行われます。

2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、試験日程の変更が生じているため、注意が必要です。

各試験とも実施日の2か月前までに発表、受付開始となっています。

検定料

初級の受講料はそれぞれの教育機関によって異なります。

中級・上級の試験料は次の通りです。

中級……8,800 円(税込)
準中級…3,300円(税込)
上級……9,900 円(税込)

実技試験が一定基準に達し,学科試験のみ一定基準に達しない場合は準中級を認定され、次回の試験では実技試験が免除されます。

受験資格

受験資格は次の通りです。

初級学歴・年齢等に制限なし
中級①日本エディタースクールで所定のコースを修了したこと(=初級を取得していること)
②各種機関で一定の技術訓練を受けたこと
①~②に準ずる者として校正技能検定委員会が認めたこと
上級中級試験を合格している者

試験時間と出題方式

中級・上級ともに実技試験と学科試験が行われます。

実技試験では、原稿の校正作業を行います。

試験時間

中級・上級の実技試験の内容と時間は次の通りです。

実技Ⅰ…縦組原稿引合せ
実技Ⅱ…横組原稿引合わせ
実技Ⅲ…縦組データ入稿の赤字確認と通読

実技Ⅰ実技Ⅱ実技Ⅲ
中級90分60分60分
上級90分90分90分

その後、実技試験として、○×選択式の学科試験が行われます。

こちらは、中級・上級どちらも50分の試験時間が設けられています。

出題範囲

中級・上級の学科試験の出題範囲は次の通りです。

  • 編集・制作に関する基本知識
  • 漢字に関する知識
  • 一般的知識

詳しくは公式サイトの「日本エディタスクール」の校正技能検定試験の案内ページをご覧ください。
https://www.editor.co.jp/exam/

合格基準・合格率

中級・上級ともに実技試験・学科試験が一定の基準に達した場合、合格となります。

中級の場合、85点前後が審査対象となっています。

上級は、審査対象の基準が公開されていません。

合格率は、中級・上級ともに約40%です。

校正講座・セミナーの選び方

前述したように、校正の知識や技術を磨くには校正技能検定以外の講座やセミナーに参加するという方法もあります。

以下に代表的なものを挙げてみましょう。

校正実務講座

校正技能検定以外にも、「校正士」という資格があります。

この資格も校正技能検定と同じく所定の講座を修了することがメインになっていますが、こちらは一般社団法人実務教育研究所が主催しています。

科目修了後には文部科学省認定の校正士認定試験の受験資格を得られるのが大きなメリットです。

この講座は、単元ごとに報告課題を提出するのですが、基準点に達するまで何度でも修正と添削を繰り返す「課題リピート添削」という方式をとっていることと、履歴書に添付できる「修了証書」が発行されることがおおきな特色です。

受講料は入学金を含めて5万円弱と日本エディタースクールの通信課程とほぼ変わらず、完全に通信教育ですが何度でも質問ができるようになっているのがポイントです。

校正・校閲力養成講座

1954年創業の日本最初の広告専門誌を出版したことで有名な株式会社宣伝会議が主催するオンデマンドサービス

申し込みから7日間限定で受講でき、講座そのものの所要時間は330分と一日で修了可能であることが大きなメリットです。

内容は専門知識だけでなく、消費者目線と発信者目線で同じものを見た時の違いなど広報・広告関連についての単元もあるということが特徴です。

出版・編集関係の職種以外にも営業職の人などの利用も多い講座となっています。

学費は6万円弱でこちらも日本エディタースクールと大差ありません。

校正技術を極めたいというわけではなく、取り急ぎ校正技術課程を修了した事実が必要な方におすすめです。

校正学校

校正・校閲の専門会社である鴎来堂が主催する校正・校閲の実務に耐えうる人材を育成する講座です。

受講資格は特に設けられていませんが、初歩的な校正・校閲の知識を持っている人を前提としてカリキュラムが組まれていることが大きな特色と言えるでしょう。

こちらはすべてオンライン講座となっており、不定期開催となっています。

2022年の開催は現在のところ未定ですが、2021年は秋の1か月間毎週土曜日に開講されていました。

費用は6万円弱と日本エディタースクールの通信課程と大きな差はありません。

ここでご紹介したものはいずれも通信教育での受講が可能です。

費用も通学より安価ですので、都心部に住んでおらず、転職や副業に校正技術を身につけたい時に検討するのもおすすめです。

まとめ

今回は校正技能検定についての詳しいご紹介を中心に、校正技術を身につけるにはどういった学習方法があるのかについてご紹介しました。

SNSやプレゼンなど、発信者となることが多い昨今、トラブル回避のためにも校正技術が役に立つことは多いはずです。

コロナ禍で在宅時間が長くなっていることもありますので、オンライン講座を受講してみるのもよいでしょう。

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