この記事の要点
- ITパスポートはITに関する基本的知識を問う資格試験
- ネット上に勉強のための情報が豊富で無料で合格も可能
- ITパスポート合格だけでは副業に繋げにくい
- 合格後は更にスキルアップを目指すのがおすすめ
ITパスポートは、独立行政法人であるIPA(情報処理推進機構)が実施している資格試験の中でも、もっとも初心者向けの資格です。
ITパスポートに合格することでITに関する基本的知識を持っていると証明できるので、IT未経験の初心者がIT関係の副業を始めたいときに有効な資格です。
目次
ITパスポートとは?
ITパスポートとは、ITを利用する全ての社会人や学生に向けられた試験で、基本情報処理試験と同様、独立行政法人であるIPA(情報処理推進機構)が運営しています。
運営団体名 | 独立行政法人情報処理推進機構 (IPA:Information-technology Promotion Agency, Japan) |
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公式URL | https://www.jitec.ipa.go.jp/ https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/index.html |
住所 | 〒113-6591 東京都文京区本駒込二丁目28番8号 |
TEL | 03-5978-7620 |
IPA(情報処理推進機構)が行っている資格試験の中でも、ITパスポートは難易度が易しく間口が広く設定されている資格試験です。
そのため、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験など更に難易度が高い資格の足掛かりになる試験と言えます。
ITパスポートは副業に活かせる?
繰り返しになりますが、ITパスポートはIT関連の資格の中では難易度が低く、合格したからといって高い専門性を証明できる資格ではありません。
そのため、ITパスポートに合格するだけですぐに実務や副業に役に立つとはいえないでしょう。
ITパスポートを副業などに活かそうとするのであれば、以下のようなステップアップがおすすめです。
- 基本情報技術者試験や応用情報技術者試験など上級資格の取得を目指す
- WebライティングやWebデザイン、Wordpressなど自分の専門性を高める
基本情報技術者試験はプログラミングに関する問題も出題されます。
合格できればプログラミング関連の副業を受注する際のスキルの証明の一つになるでしょう。
ライティングやデザインの際に、ITパスポートによるIT全般の知識があれば、差別化につながります。
ITパスポートの試験概要
比較的取り組みやすいITパスポート試験ですが、試験についても他のIPAの資格よりも取り組みやすくなっています。
試験日程と申し込み期間
試験は月に2回~毎週間隔の土曜日・日曜日に実施されます。
申し込み期間も試験日3日前までとかなり柔軟ですね。
試験場所と受験料・受験資格
試験は、全国47都道府県にある設置会場で実施されます。
試験地はプロメトリックの「全国の試験会場(テストセンター)検索」から調べることができます。
http://pf.prometric-jp.com/testlist/fe/reserve.html
受験料
受験料は5,700円になります。
IPA(独立行政法人情報処理機構)の試験はITパスポートのみが5,700円で、その他は7,500円になります。
受験資格
受験資格は特にありません。
試験時間と出題方式
試験方式はCBT方式で、試験時間は120分になります。
出題範囲
基本情報処理試験等と同じく
- アルゴリズムやハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどのテクノロジ系
- プロジェクトマネージメントなどのマネジメント系
- システム戦略や経営戦略などのストラテジ系
の3つの分野に分けられます。
詳細は、試験要綱・シラバスの基本情報技術者試験のシラバスを確認しておきましょう。
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/_index_hanni_skill.html
※2022年4月の試験から適用される試験概要が異なりますので注意しましょう。
合格基準・合格率
1000点満点中、出題範囲3分野が300点以上で、総合評価点も600点(およそ60%)以上が合格条件となります。
採点は、IRT(項目応答理論)という採点方式が採用され、1問何点という配点ではない点が注意です。
合格率は、社会人の合格率が約60%、学生の合格率は約43%で、全体で50%程度の合格率となっています。
公式サイトで過去問を入手可能
ITパスポート専用サイトで過去問が公開されています。
解答と解説もあるので、書籍などを購入せずに合格も可能です。
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/openinfo/questions.html
ITパスポート合格に必要な勉強時間
ITパスポート合格に向けてどれくらい勉強が必要かどうかは、これまでの経験やIT知識の有無によっても異なります。
実務経験なし・IT関連の学習初心者の場合
ITに関する基本的知識がない方やこれまでIT関連の仕事をしていなかった方が、ITパスポート合格のために必要な勉強時間の目安は100時間程度です。
ITパスポートは試験範囲が広いので、ITに馴染みがない方は勉強時間を多めにとっておくと安心です。
IT関係でない社会人が、ITパスポートの勉強をした場合の学習スケジュールの例は以下の通りです。
- 平日2時間×5日間
- 週末3時間×2日間
上記の例ですと1週間で16時間の勉強時間を確保できるので、100時間勉強するには6~7週間程度になります。
学習スケジュールに余裕を持ち確実に合格したい方は3ヶ月程度の勉強期間を確保するのが良いでしょう。
ITパスポートは全問選択式の試験で合格点数も全体の6割とそれほど高くはないので、試験勉強が得意な方や資格の勉強になれている方は、もっと短い勉強時間ですむ可能性もあります。
実務経験あり・IT関連の学習経験者の場合
IT関連の知識をお持ちの方やIT業界での実務経験をお持ちの方は、短い学習時間で合格できるでしょう。
個人差もありますが、30時間程度で合格できる可能性もあります。
- 平日2時間×5日間
- 週末3時間×2日間
上記の勉強時間を確保できるのであれば、2週間程度で合格ラインに到達可能です。
資格取得後に、基本情報技術者試験などの取得も目指すのであれば、ITパスポートは効率よく勉強して他の資格勉強に時間をかけるのがおすすめです。
ITパスポートの勉強をするコツ
ITパスポートの出題内容はITに関する基本的知識がほとんどであり、試験の難易度はそれほど高くありません。
しかし出題範囲が広いので、短期間の勉強での合格や1回の受験で合格するにはコツが必要です。
ITパスポートの勉強を効率よく行うコツを紹介していきます。
過去問を活用して勉強する
過去問は最低でも3年分、IT用語など基本的な部分から学習が必要な方は5年分以上をこなしておくのが良いでしょう。
出題パターンや頻出範囲はある程度決まっているので、必ず間違えた問題を復習するようにしてください。
スキマ時間を活用して勉強する
ITパスポートの出題範囲は広いですが各出題範囲の難易度は高くないため、スキマ時間を使って細切れの学習でも十分合格可能です。
例えば通勤時間を利用して動画やアプリを活用して勉強し、自宅に帰った後に問題集や過去問を使って勉強すれば効率よく勉強できます。
通勤時間などのスキマ時間で、動画やアプリを使えば効率的に学習を進めることができるでしょう。
youtubeにはわかりやすい動画がたくさんアップされています。
少し古い動画ですが、単元ごとに非常によくまとまっておりわかりやすいです。
シリーズ合計で100万回再生以上も納得の内容です。
→ 講座のプレイリスト
アプリなら大量の問題が収録されていて、解説も豊富なアプリ、『2021年版 ITパスポート問題集(全問解説付)』がおすすめです。もちろん、無料で利用できます。
ITパスポートと基本情報技術者試験・他のIT資格との違い
ITに関する資格はITパスポート以外にも様々なものがあります。
「自分にとって役立つIT資格はどれだろう?」と悩みやすい他のIT資格とITパスポートの違いを見ていきましょう。
基本情報技術者試験とITパスポートの比較
基本情報技術者試験もITパスポートもIPA(情報処理推進機構)が実施している資格試験です。
どちらもITに関する基礎的な問題になり、似た問題も出題されますが、基本情報技術者試験の方が難易度が高めで出題形式や問題数、時間数などのボリュームも多めになっています。
ITパスポート | 基本情報処理技術者 | |
---|---|---|
試験時間 | 120分 | 午前・午後各150分 計300分 |
出題形式 | 四肢択一方式 | 午前:四肢択一式 午後:多肢選択式 |
出題数 | 100問(小問形式) | 午前:80問 午後:11問のうち5問選択 |
出題範囲 | 午前:ITパスポートの範囲をより深堀した内容 午後:コンピューターシステム、情報セキュリティ、アルゴリズム、システム設計、マネージメント、ソフトウェア開発(C,Java,Python,アセンブラ言語,表計算ソフト)等 |
基本情報技術者試験は少しプログラミング学習者寄りの試験です。
そのため、プログラミング関連の副業を考えている場合、多少難易度は上がりますが、ITパスポートを受験せず最初から基本情報技術者試験の取得を目指すのもよいでしょう。
ウェブデザイン技能検定とITパスポートの違い
IT関連の資格の中にはウェブデザイン技能検定など、実務に関する資格試験もあります。
特定分野の専門資格試験は、出題範囲が狭く、そのスキルにより特化した内容になっています。
やりたい副業が決まっているなら、実務や学びたいスキルに直結する資格を優先して取得するのもおすすめです。
ただし、ITパスポートはIT技術に関して広く浅い知識を問う資格なので、ウェブデザイン技能検定のような専門資格の知識と補完関係になるので取得しておいても無駄にはなりません。
まとめ
ITパスポートに合格するだけで副業に繋がる可能性は低いですが、これまでIT分野に馴染みがなかった方が、まんべんなく基礎知識を身につけるにはぴったりの資格試験です。
IT関係の副業をしたい方は、ITパスポート合格後もスキルアップが必要です。
どのようなIT分野に進んだとしても、ITパスポートで勉強した基本的な知識が役立つシーンは多いので、特に初学者にはおすすめの資格と言えますね!