この記事の要点
- PHP技術者認定試験はPHP唯一の資格試験
- 種類は「初級試験」「上級/準上級試験」「技術者認定ウィザード」の3種類
- 初心者は初級試験の資格を取得しておくと、就職や転職に有利
以前、PHPについて仕組みや学習方法などの基本をご紹介していました。
PHPを学習し、副業や転職に有利になる資格はないか気になっている方もいるかもしれません。
そんな方におすすめなのが、php技術者認定試験です。
php技術者認定試験は、プログラミング言語PHPのスキルを認定する唯一の資格試験です。
世界的に需要が高いPHPは、副業でプログラミングを始めようと考えている人にもおすすめです。
この記事では、そんなPHP技術者認定試験について詳しくご説明します。
目次
PHP技術者認定試験とは?
PHP技術者認定試験とは、プログラミング言語PHPの技術者としての知識やスキルを認定する試験です。
仕事でPHPを使っている人、あるいはPHP習得のためプログラミング学習をしている人にとって
「わたしって今、どの程度のレベルなんだろう?」
というのは気になるところ。
PHP技術者認定試験に合格できれば、あなたのPHPスキルを把握できるだけでなく、就職や転職の役に立ちます。
また、副業やフリーランスで働く人にとっては、新規取引のきっかけにもなります。
とくにPHP初心者は、プログラミング学習の集大成という意味で初級試験に挑戦してみるとよいでしょう。
運営団体名 | 一般社団法人BOSS-CON JAPAN PHP技術者認定機構 |
---|---|
公式URL | https://www.phpexam.jp/ |
住所 | 東京都世田谷区内 |
TEL | 問い合わせフォームのみ |
PHP技術者認定試験にはどんな種類があるの?合格率は?
PHP技術者認定試験には、大きく分けて「初級試験」「上級/準上級試験」「技術者認定ウィザード」の3種類があります。
初級試験(PHP5/PHP7)
PHP初級試験は、PHPプログラミングの基礎的な知識を確認するための試験です。
対象はプログラミング初心者で、経済産業省が定めるガイドライン「ITスキル標準(ITSS)」でレベル1に位置付けられています。
設問は選択式で、主教材である『初めてのPHP』やPHPオンラインマニュアルから出題されます。
近年の初級試験合格率は68%程度で、難易度は低めです。
上級/準上級試験(PHP5/PHP8)
PHP初級試験は、3年程度の実務経験があるPHPエンジニアが対象の試験です。
PHPのプログラミングスキルに加え、ある程度の実務に対する専門性が必要となります。
「ITスキル標準(ITSS)」レベル2~3に位置付けられ、インストールや設定、リファレンスやセキュリティなど幅広い内容が出題されます。
正答が7割以上なら「上級」、5割~7割未満なら「準上級」に認定されるシステムです。
近年の上級試験合格率は10%なので、難易度は高めと考えておきましょう。
技術者認定ウィザード
PHP技術者認定試験の最上位に位置しているのが、技術者認定ウィザードです。
上級試験で90%以上を取得した人のみが挑戦でき、500文字以上の論文形式で提出するシステムになっています。
論文の内容は、「PHP認定ウィザードに関する所信表明、PHPが好きなところ、将来の夢・展望、PHPコミュニティ活動や、勉強法など」が想定されていますが、PHPに関わる内容であれば基本的に自由です。
PHP技術者認定ウィザードより
https://www.phpexam.jp/summary/wizard/
論文は投票によって得点が決定し、上級試験の点数との合計値によって合否が判断されます。
受験資格がそもそも狭き門であるのに加え、PHPだけでなくプログラミング全般のきわめて専門的な知識が必要です。
2022年現在、認定ウィザード合格者は1名のみです(2015年選出)。
合格するのは極めて難しいと考えておいたほうがよいでしょう。
PHP技術者認定試験の需要とメリット
PHP技術者認定試験の需要や、資格を取得することで得られるメリットについてご説明します。
PHP技術者認定試験に需要はあるの?
PHPは、サーバーサイドプログラミング言語の世界シェアが77.5%。今、世界で最も利用されているプログラミング言語です。
2022年2月のW3Techs.com調査より
https://w3techs.com/
特に人気なのがワードプレスで、43.0%もの利用率を誇ります。
国内市場を見てもPHP需要は依然高く、案件数もトップクラスを維持しています。
このような状況下において、PHP技術者認定試験の資格を有していることは、非常に価値が高いと言えるのです。
PHP技術者認定試験を受ける3つのメリット
PHP技術者認定試験を受けるメリットは、大きく分けて3つあります。
- PHPを体系的に学習できる
- 未経験者の就職や転職に有利
- 昇進や昇給、転職に有利
順番にご紹介していきましょう。
PHPを体系的に学習できる
PHP技術者認定試験の学習を進めれば、PHPのプログラミング言語を体系的に学習することができます。
漠然とプログラミング学習を進めるだけではモチベーションが続きませんが、「資格を取得する!」という目標があれば、続けやすくなります。
未経験者の就職や転職に有利
PHP技術者認定試験を受けて資格を有していれば、「未経験でもそれなりの知識を持っている」と判断され、就職や転職に有利に働く可能性があります。
未経験者が就職するうえで、資格は大きな強みになります。
昇進や昇給、転職に有利
PHP技術者認定試験の上級/準上級資格は、PHPの高いスキルが認定された証明です。
特に上級資格は合格率10%の狭き門なので、持っていて損はありません。
PHPエンジニアとして昇進や昇給を考えている人、あるいは転職を考えている人に有利に働く可能性があります。
試験の受験概要
ここからは、試験の内容についてみていきましょう。
試験日程と申し込み期間・試験会場
PHP技術者認定試験は、全国各地で随時行われています。
試験日程は、試験を実施する最寄りの試験会場に問い合わせましょう。
申込み期間も試験会場によって異なります。
また、試験会場は「試験会場を探す」ページで検索できます。
試験場所と受験料・受験資格
PHP試験は習熟レベルによって2つの試験が用意されており、それぞれ受験料が異なります。
試験名 | 一般価格 | 学割価格 |
---|---|---|
初級試験(PHP5/PHP7) | 13,200円(税込) | 6,600円(税込) |
上級/準上級試験(PHP5/PHP8) | 16,500円(税込) | 8,250円(税込) |
受験資格は中学生以上。どなたでも受験可能です。
学割対象となる学生と教員は試験申し込みサイトをご覧ください。
PHP技術者認定ウィザードは、PHP技術者認定上級試験で90点もしくは90%以上を獲得した方が受験対象となります。
試験時間と出題方式
初級試験と上級試験の試験方式ともにCBT方式となっています。
試験時間は初級60分、上級120分です。
PHP技術者認定ウィザードは、所定の文章(500文字程度)をメールにて提出します。
出題範囲
PHP7技術者認定初級試験の出題範囲は、認定教材であるオライリー・ジャパン「初めてのPHP(PHP7対応版)」より以下の問題数で出題します。
具体的な出題範囲・出題割合は次のとおりです。
項目 | 出題問題数 |
---|---|
PHPの特徴 | 2 |
テキストと数の操作 | 3 |
ロジック:判定と繰り返し | 2 |
データのグループ:配列の操作 | 3 |
ロジックのグループ:関数とファイル | 3 |
データとロジックの結合:オブジェクトの操作 | 2 |
ユーザとの情報交換:Webフォームの作成 | 4 |
情報の保存:データベース | 4 |
ファイルの操作 | 2 |
ユーザの記憶:クッキーとセッション | 2 |
他のWebサイトやサービスとのやり取り | 2 |
デバッグ | 2 |
テスト:プログラムが正しく動作するようにする | 2 |
ソフトウェア開発で心得ておきたいこと | 1 |
日付と時刻 | 1 |
パッケージ管理 | 1 |
メールの送信 | 1 |
フレームワーク | 1 |
コマンドラインPHP | 1 |
国際化とローカライゼーション | 1 |
上級の試験範囲は、主教材「プログラミングPHP 第3版」だけでなくPHPオンラインマニュアルなどからも出題されます。
詳しくは、試験申し込みサイトの検定詳細ページをご覧ください。
合格基準・合格率
PHP初級試験(PHP5/PHP7)の合格基準は70%以上です。
PHP上級試験は獲得点数から上級合格と準上級合格に分けられます。
上級合格の基準は、7割以上。準上級合格の基準は5割以上7割未満となります。
なお合格率は、初級約60%、上級約10%となっています。
「技術者認定ウィザード」の合格者は2015年に1名のみと非常に狭き門となっています。
合格するための勉強時間とおすすめの勉強方法
PHP技術者認定試験に合格するためには、しっかり対策を立てて勉強することが大切です。
試験の種類によって勉強時間や方法が異なるので、それぞれご説明していきます。
初級試験を目指す人向け
初級試験の出題範囲は、PHPプログラミングの基礎やPHP公式マニュアルです。
初級試験を目指すなら、まず以下の出題範囲をしっかり基礎から学習しましょう。勉強時間の目安は、だいたい約10時間程度です。
- 公式の主教材:『初めてのPHP』(出版元:オライリージャパン)
- 認定対策本:『徹底攻略PHP7技術者認定[初級]試験問題集』(出版元:インプレス)
- PHPオンラインマニュアル
https://www.php.net/manual/ja/index.php
『初めてのPHP』は初心者向けの本ですが、まったくのプログラミング初心者にとってはやや難易度が高いかもしれません。
プログラミング初心者は、まず初心者向けの無料のウェブサイトで基礎的な部分を学習してから教材に臨むとよいでしょう。
おススメの無料ウェブサイト
ドットインストール はじめてのPHP(動画)
はじめてのPHPということで、PHPの基礎について動画で学ぶことができるサイトです。
開発環境を整えるところから、文字列の表現方法や、変数、ランダムなメッセージの表示など、サイトを作成しながら学べます。
初心者用PHP入門
PHPの基本的な使い方についてアプリケーションなどを通して学ぶことができるサイトです。
PHPの基本から、アプリケーションの作成、データベースなどについて学習できます。
PHP入門
PHPのプログラムを開始される方を対象としたPHP入門です。
PHPでの開発環境をローカル環境に構築する手順や、PHPを使ったプログラミングの方法に関して実際にサンプルプログラムを作成しながら解説しているサイトです。
上級/準上級試験を目指す人向け
上級/準上級試験は、公式教材はPHPオンラインマニュアルのみです。
公式サイトには、大まかな出題範囲が記載されています。
No. | セクション名 | 出題割合 |
---|---|---|
1 | インストールと設定 | 3.3% |
2 | 言語リファレンス | 49.6% |
3 | セキュリティ | 13.3% |
4 | 機能 | 3.3% |
5 | 基本的な関数 | 30.0% |
「PHP8技術者認定試験上級/準上級試験」「出題範囲」より引用
https://www.phpexam.jp/summary/expert8/
認定対策本として、『徹底攻略 PHP5 技術者認定[上級] 試験問題集』(出版元:インプレス)があります。
PHPのバージョンが古いので、最新PHP8での変更箇所は自分でチェックする必要があります。
上級/準上級試験は非常に難易度が高いので、学習時間は最低でも50時間程度は見ておいた方がいいでしょう。
技術者認定ウィザードを目指す人向け
最上位資格である技術者認定ウィザードは、論文形式の試験になります。
試験対策というより、日ごろの研究成果を細部まで記録しておき、発表に備えることが大切です。
まとめ
PHP技術者認定試験は、PHPのスキルを証明する唯一の資格試験であり、転職や副業に大いに役に立ちます。
合格するためにはかなりの努力が必要になりますが、習得した知識やスキルは業務で必ず役に立つものばかりです。迷っている人やPHP初心者は積極的にチャレンジしていくとよいでしょう。
試験だけなく、同時にフレームワークの知識や実際に動作するプログラムを作ることも大切です。
実戦的なPHPエンジニアとしてスキルを高め、そのうえで準上級や上級、認定ウィザードを目指しましょう。