この記事の要点
- TypeScriptの開発はJavaScriptフレームワークと併用するのが一般的
- おすすめのフレームワークは「Next.js」「Nuxt.js」「Angular」の3つ
- フレームワークそれぞれの特徴を理解し、どれを習得すべきかを検討しよう
以前、TypeScriptの特徴や将来性について解説していました。
TypeScriptは、JavaScriptフレームワークと併用して利用するのが一般的です。
世界的に人気のJavaScriptにはさまざまなフレームワークがあります。
この記事では、TypeScriptで開発する際におすすめフレームワークを3つご紹介します。
人気のフレームワークを比較し、どれを習得すべきかを検討しましょう。
目次
TypeScriptとJavascriptフレームワークの関係
TypeScriptとは、Microsoft社が中心となって開発を進めるオープンソースのプログラミング言語です。
JavaScriptに静的な型付け機能などを搭載し、JavaScriptの上位互換言語として注目を集めています。
大規模開発に対応できる機能を有したTypeScriptは、一般的に複数の技術スタックを組み合わせて利用されます。
その中心となっているのが、今回ご紹介するJavaScriptフレームワークです。
ユーザーニーズが流動的に変化するフロントエンド開発において、開発環境はよりシンプルに、かつ導入をスムーズにできるものが求められています。
その要望を満たしているものこそJavaScriptフレームワークなのです。
TypeScript とJavaScriptフレームワークを組み合わせて利用することによって、柔軟で幅広いWebシステム開発が可能になります。
おすすめのTypeScriptフレームワーク3選
Typescriptで開発を行う際に使用するおすすめのフレームワークを3つご紹介します。
Next.js(ネクスト・ジェイエス)
Next.jsは、Vercel社が開発したオープンソースのフルスタックフレームワークです。
Meta社(旧Facebook社)が開発したWebフロントエンドライブラリReact(リアクト)をベースに構築及び開発されています。
サーバーサイドレンダリングや静的Webサイト生成など、開発において便利な機能をReactベースで提供しているのが特徴です。
フロントエンドだけでなくサーバ機能も一部持ち合わせており、React単体で行うよりも開発しやすく、快適なUX(ユーザー体験)を提供できると人気を集めています。
React公式ドキュメントには、推奨するWebサイト構築ソリューションとしてNext.jsの使用が挙げられており、「React+Next.js」の組み合わせによるWebサイト構築がいかに効率的かよく分かります。
Next.jsには、以下のような特徴があります。
- SPA(シングルページアプリケーション)が実装されている
- SSR(サーバサイドレンダリング)ができる
- SSG(静的サイト生成)ができる
- SPA/SSR/SSGの切り替えが簡単にできる
- ページルーティングを簡単にできる
Next.jsは、煩雑になりやすいWebアプリケーション開発を簡便化するために有益です。
Nuxt.js(ナクスト・ジェイエス)
Nuxt.jsはJavaScriptライブラリReactをベースに作られたものであることをすでにご説明しました。
同様に、Vue.js(ヴュー・ジェイエス)ベースで作られたフレームワークがNuxt.jsです。
Vue.jsは、Reactと同じく世界的に人気のJavaScriptライブラリです。
必要に応じて段階的に開発規模を広げていく「プログレッシブフレームワーク」という設計思想を持っており、仕様や体制の変化に対応できる柔軟性を有しているのが特徴です。
2020年9月にTypescriptベースのVue3としてリリースされ、要望の多かったTypescriptとの相性が改善しました。
公式でサポートされている周辺ライブラリも拡充されており、オープンソースソフトウェアとして今後の成長が期待されています。
「Next.jsとNuxt.js、似ていてどっちがどっちが分からない!」
と感じた方もいるかもしれませんが、それもそのはず。
Nuxt.jsはNext.jsの影響を大きく受けて開発されたフレームワークなのです。
そのため、Nuxt.jsにはルーティングやSSR/SSGなど、Next.jsと同様の機能が搭載されています。
Next.jsと大きく異なる点は、デフォルトでTypescriptが使えること、さらに開発時の起動やホットリロードが高速なことがあげられます。
日本ではNuxt.jsを使用したフロントエンド開発が多く、現在では以下のようなサービスで導入されています。
- LINE
- DMM
- note
- クラウドワークス
- 一休.com
Angular(アンギュラー)
AngularはGoogle社が主導して開発が進められたTypescriptベースの開発プラットフォームの総称で、以下のものが含まれています。
- コンポーネントベースのフレームワーク
- 統合ライブラリコレクション
- 開発者用ツール
もともとは2009年に「AngularJS」の名称で開発がスタートしましたが、機能性などに問題が発生したことから中断し、後継として生まれたのがAngularです。
最初のメジャーリリースのバージョンは2.0、以降は半年ごとのアップデートが継続され、最新版は2022年11月現在バージョン14(022年6月3日にリリース)になります。
Google社は2017年ごろからTypescriptを開発標準言語として採用しています。
そのためAngularでもTypescriptを使用した開発が推奨されており、公式ライブラリ(https://angular.jp/)のサンプルコードもすべてTypescriptで提供されています。
大きな特徴としては、以下の点があげられます。
- SPA(シングルページアプリケーション)の作成に優れている
- 双方向バインディング機能により、コーディング量を大幅に減らすことができる
- 公式提供のライブラリやプラグインが充実している
- 保守性が担保されており、メンテナンスがしやすい
まとめ
近年のWebアプリケーションはパフォーマンスやSEOが特に重視される傾向にあり、フロントエンド開発者にも対応が強く求められています。
TypeScriptとフレームワークはそのような課題を素早く解決し、開発をよりスムーズに進められるように助けてくれるものです。
人気のフレームワークを習得し、必要に応じて使える状態にしておくことで、あなたのTypeScriptエンジニアとしての価値はより高まることでしょう。
また、TypeScriptの環境構築の方法や簡単なWebアプリケーション作成について解説しているので、こちらも参考にしてください。