Unityでの副業案件は多い?案件獲得に必要なスキル・報酬相場・学習方法までを解説

この記事の要点

  • Unityは最もシェアの高いゲームエンジン
  • 副業の難易度は、スマホゲーム開発、PCゲーム開発、3Dシミュレーション制作の順番に難しい
  • 独学では作りたいアプリを作り、リリースを目指すとよい

個人開発のゲームから企業向けの大規模ゲームまで広く使われている、最も人気の高いゲームエンジン「Unity」。

リアリティの高い物理演算を搭載し、最近だと「Pokemon Go」や「ヒューマン フォール ブラッド」といった人気ゲームの開発に利用されています。

この記事では、このゲームエンジン「Unity」で副業をするときどのような案件が多いのか、案件を受注するためにどのようなスキルが必要になるのかを解説します。

Unityとは

Unity(Unity3D)は、Unity Technologiesが2005年にリリースしたゲーム開発ツールで、プログラミング言語「C#」を用いて2D/3Dゲームを直感的に製作することができます。

2020年時点でスマホ、PC、コンソール向けゲーム全体で50%以上、スマホゲーム上位1000ゲームのうち71%がUnity製と、非常に高いシェア率を誇るゲームエンジンです。

Unityの利点として、アセットストアがあります。
ユーザーがゲームにすぐ組み込める便利な機能(プログラム、アニメーション、3Dモデル、UIデザインなど)をアセットとして配布しているため、ユーザーはアセットストアから無償・有償の様々なアセットを自分のゲームに組み込むことができます。

Unityでできること・用途

Unityはゲームエンジンですが、リアリティのある物理演算ができたり基本的なファイル操作が出来たりすることから、ゲームに限らず下記のようなことが可能です。

2D/3Dゲーム開発

Unityは3Dゲームしか作れないと誤解されがちですが、2D/3D問わずUnityだけでほとんどのゲームを作れてしまいます。

UI・画像の表示、音声再生、3Dモデルの表示や当たり判定だけでなく、サーバーとの通信処理やセーブデータの管理といったこともUnityで完結させることができます

クロスプラットフォームでの開発

Unityは20以上のプラットフォームをサポートしており、Androidで動くコードをそのままiOS用にビルドして動かす、といったクロスプラットフォーム開発が簡単に実現できます

映像制作

Unityはカメラや3Dモデルへのモーション流し込み、パーティクルやライトといったものが扱えるため、クオリティの高い映像作品を制作することが出来ます

2018年にはUnityだけで製作された映画『WiNDUP』が名だたる国際映画祭へノミネートされました。

Unityでの副業に必要なスキルと報酬・案件単価の相場

副業になりうるスマホアプリ開発、PCゲーム開発、3Dシミュレーション制作、Unityの講師について、必要なスキルと報酬・案件単価の相場を解説します。

スマホゲーム開発

スマホゲームの開発案件の多くは、UnityでのiOS/Androidアプリの開発経験の有無が条件になります。
スマホゲーム制作を副業とするならUnityを習得すればまず間違いないでしょう。

Unityでのスマホゲーム開発に必要なスキル

ゲームの内容にもよりますが、Unityでのスマホゲーム開発に必要な主なスキルは以下の通りです。

  • 基本的なゲーム開発スキル
  • 各端末の画面解像度へのレスポンシブ対応
  • UniRx、 DoTweenといった有名なアセットの知識
  • アプリリリースの手順

ただゲーム開発が出来るだけでなく、端末によって違う画面サイズへの対応は必ず習得しておきましょう。

また、UniRx(非同期処理など)やDoTween(アニメーションなど)といった「プログラムの記述を楽に、短くできるアセット」は短い時間で良いものを作るのに有用であるため、積極的に習得しておくべきです。

案件によっては「ゲームを作ったがどうリリースすればいいかわからない」といった依頼主も存在するため、勉強用に作ったゲームはリリースまでしてしまって経験を積んだ方が良いでしょう。

Unityでのスマホゲーム開発の相場

ゲームの規模によりますが、Unityでのスマホゲーム開発の相場は小規模なもので100万円~300万円、通信処理を含むソーシャルゲームのような大規模なものであれば500万円を超える案件もあります。

保守・運用まで任せられるものであれば、月収70万円~100万円ほどの相場です。

PCゲーム開発

スマホアプリほど多くありませんが、Steamなどで販売するPCゲームの制作案件も存在します。

こちらも条件はUnityでのゲーム開発経験があることが多いですが、リリースの必要がない分ハードルは低くなっています(その分競争率が高いとも考えられます)。

UnityでのPCゲーム開発に必要なスキル

スマホゲームと似通っていますが、UnityでのPCゲーム開発に必要な主なスキルは以下の通りです。

  • 基本的なゲーム開発スキル
  • UniRx、 DoTweenといった有名なアセットの知識
  • 3Dモデルやカメラ、ライティングの知識
  • キーボード、マウス、ゲームパッドの入力対応

スマホゲームよりPCゲームが選ばれるときは、スマホで出来ないような高度なことや、複雑な操作が求められる傾向があります。

特にスマートフォンでは実現できないような高スペックを求められるカメラ・ライティング処理や、キーボード・ゲームパッドの連携をきちんと習得しておくべきでしょう。

そのため、PCゲームをターゲットとするのであればゲームパッドは購入しておくべきです。

UnityでのPCゲーム開発の相場

小規模なものが多く、UnityでのPCゲーム開発の相場は50万円~200万円ほどが多いようです。

3Dシミュレーション制作

建築物や歯、車といった対象物の3Dシミュレーション制作で「多角的に閲覧したい構造物を表示するソフトを作ってほしい」という案件があります。

案件数はそこまで多くないですが、習得されている方も少ないため狙い目の技術です。

Unityでの3Dシミュレーション制作に必要なスキル

Unityでの3Dシミュレーション制作に必要なスキルは以下の通りです。

  • 3Dモデルへのライティング、カメラワーク
  • 3Dモデルデータの構造理解、編集
  • Unity上でのアニメーション

3Dモデルには、FBX、STL、OBJなど様々な拡張子を持つものがあります。
これらの特徴を理解し、場合によっては表示しやすいようにモデルを編集する必要があります。

そのため、BlenderやMayaなどの3Dモデリングソフトの基本的な操作をUnityと一緒に習得しておけば、これらの案件はぐっと取りやすくなります

Unityでの3Dシミュレーション制作の相場

「モデルをUnityで出す」「アニメーションだけ作る」といった部分的な案件が多く、Unityでの3Dシミュレーション制作の相場としては1万円〜5万円のものがほとんどです。

Unityの講師

Unityでゲーム開発が出来るのであれば、講師として副業を始めることもできます。

Unityの講師に必要なスキル

Unityの講師に必要なスキルは以下の通りです。

  • Unityのゲーム開発に関する広い知識
  • コミュニケーション能力
  • 思考の言語化能力

Unityは、2Dと3Dで使う関数が大きく違うことがあるため、2Dと3D双方での開発経験はあった方がいいです。

Unityの講師の相場

ゲーム開発などと違い、Unityの講師は時給や授業単価の案件が多いです。

時給は2,000円〜3,000円から始まり、勤務期間や能力によって昇給が期待できます。

Unityのおすすめ学習方法3つ

熟練度に分けて、Unityをどう学習していけばよいか説明します。
Unityはシェア率が高く資料が多いため、この記事では独学での学習方法を3つ紹介します。

  • チュートリアルに沿ってゲームを作成する
  • オリジナルのゲームを開発する
  • リファクタリング

一つづつみていきます。

チュートリアルに沿ってゲームを作成する

Unityを初めて触る段階ではまだ何ができるかもわからない状態なので、チュートリアルに沿った開発を推奨します。

Unity公式のチュートリアル

チュートリアルの選択肢として、一つはUnity公式のチュートリアルがあります。

Unity初心者向けチュートリアル集

このチュートリアルの最初にある「玉転がし」を学習するだけでも、Unityで出来ることをある程度つかめるので、やっておいて損はないと思います。

書籍で学ぶ

書籍を買うのもよい手段です。
お金を払って何かを始めるとモチベーションを保ちやすくなります。

Unityの教科書 Unity 2021完全対応版 2D&3Dスマートフォンゲーム入門講座 (Entertainment&IDEA) | 北村 愛実 |本 | 通販 | Amazon

おすすめの書籍はこの「Unityの教科書」です。
イラストを用いた解説でとっつきやすく、また各章でスマートフォン上での実行を行うためスマートフォン開発にも慣れることが出来ます。

好きなゲームを開発する

Unityのチュートリアルをこなし、何ができるか大まかに把握したら好きなゲームを開発してみましょう。

2つの学習方法があり、1つめは既存のゲームを再現すること、2つめは完全にオリジナルのゲームを作ること
なるべく後者のオリジナルゲームの開発を推奨します。

ただプログラミングの学習をするだけでなく、アイデアの出し方やバランス調整の考え方を身に付けることができ、また最終的にオリジナルのものであればGoogle Play ストアや Apple Storeに出して自分の実績にすることができるからです。

こういった学習で重要なことは、ただ作るだけでなく、得た知見や完成したゲームをブログ・SNSなどでアウトプットすることです。
特に、GitHubを用いてソースコードをアップロードしておくと、いつでもどこでも確認・コピーできる自分の資産になります。

リファクタリング

リファクタリングとは、プログラム自体の挙動を変えずにプログラムの細部を変更し、可読性を高める作業のことです。
例えば同じ処理が繰り返されている部分をfor文に変更したり、似通ったクラスの共通部分を親クラスとして各クラスに継承させたりします。

リファクタリングは発展的な学習内容になりますが、仕事で使えるような質の高い、堅牢なソースコードを記述するために非常に重要になります。

自分のプログラムの非効率な部分を見つけて短くする方法を理解することで、今後書くプログラムで冗長な記述によるエラーを減らすことができ、効率的な開発作業へと繋がっていきます。
前述したUniRxやDoTweenもこのタイミングで積極的に利用するべきです。

詳しい説明は省きますが、MVPパターンのような設計思想を学んでプログラムに取り入れてもよいでしょう。

まとめ

ゲームエンジン「Unity」に関する副業の種類や、その副業に必要なスキルの種類・学習方法を紹介しました。

UnityはC#を用いたゲームエンジンですが、生のC#とは用いる関数が全く違うため、別の言語を学ぶ気持ちで勉強に臨む必要があります。
ただ一度Unityを習得してしまえば、スマホゲームアプリやPCゲーム、ブラウザゲームまで様々なプラットフォームでのアプリケーションをこれひとつで開発できてしまいます。

幅広い可能性と大きなシェアを持つUnityを学習し、様々な案件を獲得しましょう。
まずは、チュートリアルから取り組んでみてください。