この記事の要点
- Webデザイナーの副業は機材が少なく始めやすい
- バナー制作、コーディング、Webサイト制作・修正、WordPressサイトの構築・修正、Webコンサルタント・ディレクターなど、副業の相場が大きく異なる
- Webデザインの歴史はまだ浅く独学でのスキルアップが重要
Webデザイナーは、副業としてだけでなく憧れの職業として非常に人気です。
また、副業として取り組みやすい反面、経験不足で案件を受けてしまいトラブルになることも少なくありません。
本記事では、在宅・副業Webデザイナーで稼ぐために必要なスキルアップの方法から案件の種類、Webデザイナーとしての心構えなどについて解説していきます。
※記事のアイキャッチも少しWebデザイナーの記事っぽい感じにしてみました!
目次
Webデザイナーとは
Webデザイナーとは名前の通り、Webページのデザインをする職業になりますが、絵を描くような感覚でサイトのデザインをして完了というわけではありません。
受注での制作の場合、どういったWebページにしたいかを顧客にヒアリングをし、そのWebページを実現するための設計をします。
その後、ワイヤーフレームと呼ばれるようなラフ案を元に、必要な機能や要素を決めていきます。
ワイヤーフレームが完成したら、実際にデザインをしていきます。
さらに、サイトとして閲覧できるようにコーディングを行っていきます。
部分的にコーダーやプログラマーが担う作業もありますが、デザインを行うだけではなく、クライアントの抽象的なニーズや希望を具現化するためのWebページに付随する作業全般を行うのがWebデザイナーといえます。
Webデザイナーが副業をする時に気を付けたいメリット・デメリット
Webデザイナーの副業というと、おしゃれなカフェで自由に仕事ができるというイメージかもしれませんが、当然メリット・デメリットがあります。
ここでは、実際に仕事をして分かったメリットとデメリットを見ていきましょう。
副業Webデザイナーの5つの良いところ(メリット)
まずは、メリットから見ていきましょう。
時間ではなく成果で完結できる
Webデザイナーの業務は、多くの場合成果物を納品するということで完結します。
極端な話、締め切りが1週間のデザインを1日で完成させた場合でも、同じ対価になります。
在宅ワーク(テレワーク)で仕事が完結できる
実際の商品や店舗業務と違い、打ち合わせから見積、納品まですべてオンラインで可能です。
通常の業務では朝から晩にまとまった時間や通勤時間などが必要になりますが、在宅ワークであればある程度自由に業務を行うことができます。
隙間時間にスポーツクラブに行ったり、家事やプライベートのことをしたり、自分の生活スタイルに合わせて仕事ができ、精神的・体力的に余裕を持つことが可能です。
仕事場所や時間が自由
Webデザイナーは基本的にインターネットに接続できるパソコン1台で業務が完結できます。
そのため、自宅やワーキングスペース、あるいは旅行先など、どのような場所でも業務が可能です。
最近は、ワーケーションといって観光地で休暇をとりながら仕事をするというようなスタイルも人気があります。
初期投資が少ない
Webデザイナーでもパソコンやソフトなどの購入は必要になりますが、店舗のように大きな初期投資やネットショップのように恒常的な仕入れ費用が必要ないため、副業として始めやすいといえます。
指名やリピートオーダーで高い収入も可能
Webデザインは、プログラミングなどと異なり、デザイナーの個性が出やすく再現性が低い成果物です。
そのため、代わりがきかずスキルが高いWebデザイナーはクライアントから指名され、長期的に仕事を受けることができます。
副業Webデザイナーの5つのデメリット
副業Webデザイナーのデメリットはすべてメリットの裏返しになります。
修正や変更が続くケース
Webデザインの良し悪しは、どうしてもクライアントの主観に左右されます。
明るい感じ、にぎやかな感じ、シンプルで、といった抽象的な指示になることが多いため、当初の予定以上に修正や調整に時間がかかり採算が合わなくなってしまったというトラブルも少なくありません。
仕事とプライベートの境目がなくなる
時間や場所問わず仕事できるというメリットは、休日や深夜の急な仕事にも対応しなければいけない、あるいはだらだらと仕事をしてしまうというデメリットになることもあります。
副業のWebデザイナーに関わらず、在宅ワーク(テレワーク)をうまく進めるためには、
- 在宅ワークをする場所を決める
- 一つ一つのタスクを細切れにする
- メールやスマホをシャットアウトする時間を作る
- マルチタスクではなくシングルタスクを意識する
- だらだらと仕事をせず短時間の休憩時間をこまめにとる
といった工夫が必要です。
参入障壁が低く競合が多い
初期投資が少ないということは、参入障壁が低くライバルが多いことにもつながります。
Webデザイナーは副業としてだけではなく、職業そのものが人気であるので、Webデザイン自体のスキルアップとともに、プラスアルファのスキルで差別化できるような工夫が必要です。
仕事を抱え込みやすい
デザイナーの個性が出やすく再現性が低いということは、繁忙期や納期が重なってしまっても他の人に仕事を任せにくいということにつながります。
そのため、体を壊してしまったり、ミスが重なってせっかくの案件がキャンセルになってしまったということもあります。
余裕があるうちに、協力できるパートナーや経理などの雑務を任せられるアウトソーシング先などを見つけておくことも大切です。
Webデザイナーの副業案件別の単価と必要スキル
Webデザイナーの副業案件の相場や必要なスキルは、種類によってかなり異なります。
ここではWebデザイナー未経験からある程度実務経験がある人まで難易度順に紹介していきましょう。
バナー制作
バナー制作とは、コンテンツのアイキャッチになるような画像や広告用の画像を作る作業になります。
画像作成ソフトとパソコンのみで作成でき、サーバやHTML,CSSなどの知識もいらないので、Webデザインとしての初めの一歩と言えるでしょう。
バナー制作の必要なスキル
必要なスキルはillustrator、Photoshopを扱えることです。
実際のサイトに掲載されるイメージができるようにある程度HTMLやCSSの知識があるとさらによいでしょう。
バナー制作の相場
制作単価の相場は5,000~50,000円程度となっています。
クラウドソーシングなどで気軽にエントリーできるコンペ形式のバナー制作がおすすめです。
Webサイトの改修や運用
webサイトを実際に作っていく案件の中ですでにあるサイトにページを追加したり改修したりする案件です。
Webデザイナーと言えば、ゼロからサイトデザインを作るイメージが強いですが、新規サイト制作の場合、合格となる明確な基準があいまいで、機能やデザイン的な選択肢も無数にあるため、要件や仕様の調整が非常に難しくなります。
経験値が少ないWebデザイナーの場合、ヒヤリングや提案が上手くできずに見積以上に時間がかかってしまったり、トラブルになったりするケースも少なくありません。
そのため、新規案件の構築の前に、すでにあるWebサイトの改修や運用といった案件がおすすめです。
Webサイトの改修や運用に必要なスキル
画像などの制作、HTML・CSSなどのコーディングに加えて、動的なシステムを実現するためにJavaScriptというプログラミング言語やWordPressなどの知識があると有利です。
Webサイトの改修や運用の相場単価
案件の相場は、サイトやページの修正箇所によって変わりますが、1ページあたり5,000円~20,000円程度が多いです。
新規Webサイト制作はWordPressが多い
新規Webサイト制作はWebデザイナーとして一人前になったともいえる業務でしょう。
最近のWebサイトは、見た目だけでなく、ユーザーから見た使いやすさ、SEOなどの集客力、運営者の運用のしやすさなど様々な要素が必要です。
新規Webサイト制作に必要なスキル
更新や運用のしやすさ、集客に強いサイト作りが可能ということで新規サイト制作の多くは、WordPressというCMS(Contents Management System,コンテンツ・マネジメント・システム)が使われることが多いです。
CMSとは、Webサイトに必要不可欠な文章、画像、デザインやレイアウトなどを簡単に編集・管理できる機能のことで、運用時にプログラミング言語による記述が必要なくなるため、多数の人に記事を依頼するようなサイトでは非常に多く用いられています。
そのため、
- Webデザイン
- HTML/CSS
- WordPress
- JavaScript
- PHP
- サーバやドメイン
といったスキル・知識が必要になります。
Webデザインに徹したいという場合は、エンジニアやプログラマー、コーダーなどに一部業務をアウトソーシングするということもできますが、ある程度浅く広い知識は必要と言えるでしょう。
新規Webサイト制作の相場
新規Webサイト制作の相場は、サイトのボリュームや機能によってかなり差があります。
数ページのHTMLとCSSのみのページであれば5万円程度、WordPressでのサイト制作ならサイトの規模によって10万円~100万円、場合によってそれ以上になるケースもあります。
Webデザイナーにとってプラスアルファになるスキル・職種とは
クライアントにとってのサイト制作の目的は、集客や売上につなげること。Webデザイナーとして、その目的に近づけられるスキルがあれば差別化できる強みになります。
ここではそんなスキルや職種について紹介します。
UI/UXデザイナー
UIとはUser Interfaceの略でサイト上のボタンや入力フォーム、機能的な区分を中心としたデザインの要素です。
それに対して、UXはUser Experienceの略で、サイトのUIを通して得られるユーザー体験です。
例えば、写真共有サービスなどは非常に多くリリースされていますが、写真が見やすい、探しやすい、見ていて楽しい、他のユーザーと共有しやすいようなサービスがUI/UXの優れたサービスということになります。
UI/UXの視点でWebデザインやサイトの設計を行うのがUI/UXデザイナーの仕事で、デザインだけでなく商品開発やマーケティング的なスキルが必要になります。
フロントエンドエンジニア
エンジニアという言葉が含まれているように、WebデザインやUI、機能などを実装するための設計や構築なども行う職種になります。
フロントエンドエンジニア自体の定義がかなり広いため、案件やクライアントによって業務内容が異なりますが、Webデザイナーと比べると、ITの技術的な部分での知識がより必要になるでしょう。
Webコンサルタント・ディレクター
Webコンサルタント・ディレクターは名前の通り、自分が持っているスキルを他のWebデザイナーに教える、プロジェクトの進め方を指示する案件になります。
一般的にそのような業務は会社の上司などが行いますが、流動性が高いIT業界では外部から人材を採用することも少なくありません。
また、クラウドソーシングを用いて、コンサルタント側と作業者側の2つとも外部である場合もあります。
スキルとしては、Webデザイナーに関すること全般の知識はもちろんのこと、コミュニケーションスキルやプロジェクト全般のタスク管理などマネジメントに関するスキルも必要になってきます。
Webデザイナー向けの副業はクラウドソーシングが基本
副業でWebデザイナーとして案件を獲得し、さらに単価アップをしていくためには、
- クラウドソーシングで実績を作る
- 実績をもとに営業活動を行う
という2つのステップが必要になります。
クラウドソーシングサービスで実績を作る
クラウドソーシングサービスとはインターネットを通して依頼者側と解決者側をマッチングさせるようなサービスになります。
手数料が取られますが、評価機能が抑止力になりますし、決済機能で未払いなども起こりにくくなりますので、まずはクラウドソーシングサービス上で実績を作っていきましょう。
クラウドワークスやランサーズなどもありますが、個人的にWebデザイナーにおすすめするサービスはココナラになります。
ココナラには非常に多くの案件があり、案件内容もイラスト制作やサイトデザインなどWebデザイナーに適したものが多くあります。
ココナラでサービスをさがす
自分の過去の創作物を提示し、その作品と案件のマッチ度によって受注できるかどうかが決まるためなるべく多くの創作物を自分で作っておくことがコツです。
実績をもとに営業活動を行う
クラウドソーシングサービスは、コンペや相見積りなどで値引きされることが多く、さらに利用料が引かれてしまうのでどうしても手取りの金額が少なくなります。
ある程度、実績ができてきたら、営業用のポートフォリオサイトを作成し、制作会社への営業活動などを行うのもおすすめです。
最近はtwitterなどのSNS経由で案件の相談が多いため、ソーシャルセールスがおすすめです。
Webデザインの独学は難しくない!スキルアップのための4つのステップ
Webデザインを学習するには、
- 書籍やサイトでの独学
- セミナーやスクール
などがありますが、未経験が独学でWebデザイナーになるのは難しいという声をよく耳にします。
しかし、紙媒体などと違い、Webデザイン・Webデザイナーという職種は広く認知されるようになってから十数年程度しかたっていません。
(例えば、Webデザインを教えるスクールである老舗のデジタルハリウッド大学でも2005年設立です。)
そのため、現在最前線で活躍しているWebデザイナーのほとんどが独学でデザインのスキルを磨いているといっても過言ではないでしょう。
スクールを利用する場合でも自分自身で学ぶことが非常に重要になりますので、私自身が実際に学んできた流れを元に、4つのステップに分けて紹介します。
作りたい・見本にしたい制作物を集める
まずは、どのようなデザインができるようになりたいのかゴール設定をするのが重要です。
そのため、バナー画像やサイトならURLとサイトのキャプチャなどを収集して、自分自身が合格ラインと思う制作物を決めましょう。
書籍や動画でツールを
作るものを決めたら次はツールを使いこなすことが必要です。
バナーやLP制作に欠かせないillustrator、Photoshop、サイト制作ならさらに、Adobe XDなどの基本的な使い方を書籍や動画で学んでいきましょう。
このステップでのコツは、どんな機能があるのか、どんなメニューがあるのか、どんな流れで作るのかをざっと学習するということです。とにかくツール全体の機能を浅く広く理解し、制作する流れとイメージを養いましょう。
YouTubeなどには、下記のようにWebデザイナーが実務と同じような具体的な制作過程が動画で紹介しているものがありますので、書籍や授業などではわからない部分を知ることができます。
バナーやサイトをひたすら模写・トレースする
4つのステップで最も大事なステップがこの模写です。
ある程度ツールの機能を理解しても、実際にゼロからバナーやサイトを作ると何から作ってよいのか全く分からないはずです。
そのため、見本にしたいバナーやサイトのキャプチャを横に置いたりレイヤーで重ねたりして、自分自身で画像やパーツを作ったり準備したりしてトレースして似たようなものを作ってみましょう。
パッ見ただけではあまり理解できていなかった行間やフォントの大きさ、余白のバランス、画像の加工方法などの細かい要素をまなぶことができるようになるはずです。
バナーの模写の例
ゼロからオリジナルを作る
バナーなどの場合は、10個以上、サイトやLPなら5つ以上をトレースして、元のデザインに近づけたなと思ったら、ゼロからオリジナルのバナーやサイトを作ってみましょう。
架空の店舗のサイトなどでもよいですし、実際の店舗や商品について自分なりの視点でサイトやバナーを作ってみるのもおすすめです。
まとめ
Webデザイナーは、細かい副業案件も多いため、未経験からスタートして徐々にステップすることが可能です。
しかし、独学でスキルアップできるということは、独学でも簡単にマスターできるということにはなりません。
スクールであろうと実務であろうと、自分自身が学ぶ姿勢がないとなかなかスキルアップしないのがWebデザインです。
その分、やりがいも将来性もある職業ですので、頑張って取り組んでいきましょう。