この記事の要点
- Pythonはシンプルで可読性の高いコードのためプログラミング初心者におすすめの言語
- Pythonの標準ライブラリを使用するものは初心者でも作りやすい
- スクレイピングやExcel自動化など簡単なプログラムの作成がスキルアップの近道
PythonはAI開発や機械学習、Webアプリ開発ができるプログラミング言語で、初心者から現役プログラマーまで多くの方が使用しています。
学習を始めると「初心者では何が作れるのか」「レベルアップのために何か作りたい」と考える方も多いでしょう。
初心者はアプリケーション開発までの知識がないため作成できるものには限りがありますが、PythonライブラリやWeb APIを利用すると比較的簡単にプログラムを作成できます。
基礎学習をしながらオリジナルのプログラムを作成することは、基礎知識の定着やスキルアップに効果的です。
どんなプログラムを作れるのか知り、効率的にスキルアップしていきましょう。
目次
Pythonがプログラミング初心者におすすめの理由
プログラム言語にはPHPやJava、Rubyなど多くの種類が存在しますが、その中でもPythonは以下の理由から、プログラミング初心者に特におすすめできます。
- シンプルなコード
- 読みやすく見やすいコード設計
- 標準ライブラリや外部ライブラリの豊富さ
Pythonは機械学習やデータ分析の分野で注目を集め人気を集めており、就職・転職や副業にも適しているといえるでしょう。
Pythonの特徴や今学習するのが狙い目な理由については、下記の記事で詳しく説明しています。
Pythonで初心者が作れるもの5つ
Pythonで初心者が作れるものは
- 比較的容易に書けるプログラミング
- Pythonの標準ライブラリを使用するもの
のいずれかです。
「Webアプリケーションを作りたい!」と焦る気持ちはわかりますが、いきなりアプリケーション開発に手を出すと不明点・疑問点が多くつまずく原因になります。
段階ごとに学習を進めることが1番効率的にスキルを身に付けられるため、焦らず簡単なオリジナルのプログラムから開発を始めましょう。
スクレイピング:Web情報を自動で取得
スクレイピングとはWebサイトから必要な情報を取得しファイルに出力することです。
スクレイピングを使えば、毎回サイトにアクセスすることなく情報を確認できます。
- オンラインショッピングサイトから商品情報を抽出してCSV出力
- ネットニュースサイトからタイトルとURLを収集して一覧表にまとめる
など、手間のかかる作業が数秒で可能です。
また、スクレイピングの案件はクラウドソーシングサービスで探すことができるので、身につければ副業につながる可能性が高いでしょう。
スクレイピングに利用されるPythonライブラリは以下です。
- Beautiful Soup
HTMLからデータを抽出するライブラリ - Requests
HTMLからデータを抽出するライブラリ - Selenium
ブラウザやWebアプリケーションを自動化するライブラリ
Excelの自動化:パソコン作業を効率化
Excelの自動化はVBAを用いれば作成可能ですが、Pythonを使用するとExcelを開かずにプログラムを実行できたり、MacやWindowsなどのOSに左右されずに実行できるなど、VBAよりも便利に使えます。
Excelの自動化に利用されるPythonライブラリには、以下のようなものがあります。
- OpenPyXL
Excelファイルの読み書きやシートの編集ができるライブラリ - pandas
CSVやExcelへのデータの入出力やグラフ作成ができるデータ解析ライブラリ - xlwings
Excelを開きながらPythonでExcel操作ができるライブラリ - Matplotlib
グラフを描画するライブラリ
Pythonで作れる自動化ツールについては、こちらの記事が参考になります。
下記は、PythonライブラリのOpenPyXLやpandasを使って、自動的に複数の請求書ファイル(エクセルファイル)を1つに集約し、売り上げデータを集計してグラフ生成や一覧表をPDF出力するところまで丁寧に解説している動画になります。
https://www.youtube.com/watch?v=KmqEyT7HznQ
2時間11分というかなりの長編になりますが、Python、Pythonライブラリ、Excelを組み合わせた自動化の基礎スキルが身につくので実際にプログラムを組みながら挑戦してみましょう。
画像検出:顔認識や物体検知
画像検出を使用すると顔認証や物体検知が可能になるので、以下のようなことができます。
- 人物画像を人ごとに整理
- 顔から年齢や性別の判定
- 人物をトリミングして画像加工
これは実際に画像加工アプリSNOWなどで使用されている技術です。
画像検出に利用されるPythonライブラリは以下です。
- OpenCV
動画や画像を処理するライブラリ - Pillow
JPEGやPNGのほか、多くのファイル形式の画像処理ができるライブラリ - Scikit-image
画像処理に関するアルゴリズムのライブラリ
Web API連携:開発ツールの幅を拡大
GoogleやTwitter、Instagram、YouTubeなどのWeb APIを使用してアプリケーションを連携させ、簡易的なプログラムで多くのことが実装可能になります。
- Twitterの自動ツイートやフォローなどの自動化(Twitter API)
- YouTubeを動画データの分析(YouTube Data API)
- Instagramから画像や投稿データの収集(Instagram基本表示API)
- LINEの自動応答Bot作成(Messaging API)
などAPIを使用すると手動で行っていたことが一瞬で実行可能です。
簡単なアプリの作成:フレームワークを使用
Webアプリの作成にはPythonの知識だけでなく、フレームワークやデータベースの知識、HTMLやCSSなどのアプリの見た目を作るスキルも必要になってくるため、なかなかハードルが高いです。
フレームワークには、Webアプリを作るために必要な部品がまとまっているので、使用することで書くコードの量を大幅に削減できます。
Webアプリの作成には、以下のフレームワークを用いると初心者でも比較的作りやすくなります。
- Flask
機械学習のアプリ作成に適しているシンプルで使いやすいフレームワーク - Django
豊富な機能をもっており、特に画面を作る機能が充実しているフレームワーク - Bottle
小規模なアプリ作成に適したミニマムなフレームワーク
はじめはToDoリストやメモ帳など1種類のデータテーブルで作成できるWebアプリの作成から始めましょう。
Pythonが苦手な開発分野とは?
汎用性が高く幅広い分野の開発ができるPythonですが、開発現場によっては他のプログラミング言語を使用している場合があります。
決してPythonでは開発不可能というわけではありませんが、プログラミング言語には開発に向き不向きがあるからです。
ここではPythonが苦手にしている開発部分を4つ紹介しますので、覚えておきましょう。
スマホアプリの開発
AndroidやiOS向けのスマホアプリは、Pythonでの開発に向いていません。
不可能ではありませんが、わざわざアプリ開発のための主要なライブラリのないPythonで開発をするメリットがないからです。
Androidアプリの開発にはKotlinやJava、iOSアプリの開発にはSwiftが使用されています。
デスクトップアプリの開発
デスクトップアプリの開発にPythonはあまり使われません。
PythonのライブラリであるTkinterなどを使用するとデスクトップアプリの開発は可能ですが、他の言語での開発が主流です。
デスクトップアプリの開発にはJavaやC#が根強い人気があります。
以下の記事ではTkinterなど、Pythonでデスクトップアプリを作成する時に使えるライブラリをご紹介しています。
ゲーム開発
複雑な処理を要するゲーム開発は、Pythonに向いていません。
Pythonはインタプリタ言語の中でも特に処理速度が遅いため高速処理が必要なゲーム開発が難しく、処理速度の速いC++やC言語を用いることがほとんどです。
Pythonのゲーム開発ライブラリPygameを使用することで、2Dゲームの開発が可能です。
金融システム、基幹システムの開発
金融システムにはCOBOL、企業の基幹システムにはJavaが古くから開発に使われていました。
使用言語の変更に莫大な人手とお金がかかり、またシステムは突然停止するなどの問題が起こっては困るため安全性の高い言語が用いられています。
そのため、金融システムや基幹システムの開発にはCOBOL、Javaが主流です。
Python初心者向けのおすすめサイトと書籍
最後にPythonをこれから学びたい方に初心者向けのおすすめサイトや書籍を紹介します。
他のプログラミングを学習する際も同じですが、プログラミングは本を読むだけでは身に付きません。
必ず自分のパソコンでコーディングと実行を繰り返して学習しましょう。
Python初心者向けのおすすめサイト
Webで学習できるものは超初心者向けから中級者向け、有料無料などさまざまです。
初心者が最初につまずくのが環境構築です。
初めはWebブラウザで実行しながら学習できる「progate」や「paizaラーニング」を活用し、Pythonについて少し理解が進んだところで自分のパソコンに環境構築をする方が挫折を防げるでしょう。
- Progate
解説が見やすく画面の案内に従って入力。プログラミング未経験者や雰囲気を掴みたい方向け(一部無料) - paizaラーニング
動画を見ながらコーディングができ、環境構築をせずに基本文法の学習ができるため初心者は取り組みやすい(一部無料) - Let’sプログラミングPython入門
Pythonの基本が丁寧に解説されたサイト。開発環境の構築に関しても詳しい説明がある(無料) - Python-izm
入門編から応用編までサンプルコードと実行結果が掲載されている。自分でコードを書きながら学習するのに適している(無料) - PyQ
順序立てて学べるので迷わず学習を進められ、実務レベルのプログラミングスキルまで身に付けたい方におすすめ(有料)
Python初心者向けのおすすめ書籍
サイトでの学習も多くなってきましたが、基礎学習の主流は体系的に学べる書籍での学習でしょう。
オンライン講座より疑問点が解決しにくく挫折する方も多いですが、最も効率的な基礎学習は「やさしいレベルの本を1冊、写経しながら最後までやりきる」ことです。
書籍を購入する際は、書店で実際に中身を確認し自分のレベルで理解できるわかりやすい本を選んでください。
- Python 1年生 体験してわかる!会話でまなべる!プログラミングのしくみ
プログラミングを初めて学ぶ方向けの入門書で、会話形式で読みやすい - たのしいプログラミング Pythonではじめよう!
標準ライブラリTkinterを使用しゲームを作りながら基礎を身につけられる - いちばんやさしい Python入門教室
実際に手を動かしながら学べるように構成されたプログラミング未経験者向けの書籍 - スッキリわかるPython入門 スッキリわかるシリーズ
プログラミング学習本の定番「スッキリわかる」シリーズ。ストーリー形式で順番に説明されるので内容を理解しやすい
まとめ
今回はPythonを使用して初心者が作れるプログラムを中心に解説しました。
知識が身に付いていない状態で、フレームワークを使ってWebアプリケーションを開発することは挫折のリスクを高めます。
まずは比較的容易に作れるプログラムから作成し、徐々に難しいものに挑戦していくことで効率的に学習を進められるでしょう。
サイトや書籍などでPythonの基礎を学習したら、簡単なものからオリジナルのプログラム作成にチャレンジしてみましょう。
「Pythonの習得は独学では難しいかも…」と感じる方は、Pythonを学べるプログラミングスクールの受講を検討されても良いかもしれません。
また、フリーランスのPythonエンジニアとしての活躍を目指している場合は、年収アップのコツを知っておくことも大切です。
Python案件を多数あるエージェントサイトの紹介もしていますので、こちらの記事を参考にしてください。