この記事の要点
- Pythonは機械学習やディープラーニング等のAIで注目され将来性が高い
- コードがシンプルでバグ対応や改修や機能追加がやりやすい
- スクレイピングやデータ分析、自動化など副業案件の種類が多い
- ニーズが高くプログラミング+アルファの知識があれば月100万円以上も可能
多くのプログラミング言語の中で、ここ10年最も注目されている言語といえばPythonと言えるでしょう。
プログラム言語の様々なアンケートや検索数ランキングでも常に上位に入り、日本の国家試験である基本情報技術者試験の選択問題にもPythonが追加されました。
高い需要と将来性のあるPythonですが、どのような特徴の言語で、どのような分野利用されていて、副業ではどのような案件が多いのでしょうか。
今回は、そんなPythonの概要から利用分野と副業案件の種類ごとに必要なスキルと相場、スキルアップのための学習ロードマップ、高単価案件獲得のポイントまで解説します。
目次
Pythonとは?注目される理由と得意な分野、デメリット
Pythonは、1991年にベータ版が、1994年にバージョン1.0が公開された比較的新しいインタプリタ型のプログラミング言語で、動的型付け、構造化、オブジェク指向、関数型などを使用できる柔軟性の高い言語です。
2000年に2.0がリリース、2008年が3.0がリリース、それに伴い様々なライブラリやフレームワークが公開され効率的な開発環境が整っています。
日本では、2010年まではそれほど注目されていませんでしたが、GoogleやAmazonのクラウドサービスの普及とAIの分野である機械学習やディープラーニングの盛り上がりとともに人気が爆発しました。
コードがシンプルで高い保守性の言語
Pythonの最大の特徴は、文法の簡潔さと分かりやすさでしょう。
同じ処理を記述する場合、JavaやC言語といった他のプログラミング言語に比べてコードが短くて済み、プログラマーのスキルに差があってもコードの差がでにくい言語体系になっています。
コードのブロック表現をインデント(字下げ)で行うため、初心者でもベテランプログラマーのコードを理解しやすく、保守性が高いコーディングが可能になります。
そのため、初心者でも勉強がしやすく、プログラム未経験者。初心者が勉強するのにおすすめの言語と言われています。
AIやデータ分析、ブロックチェーンなど最新技術の分野で人気
Pythonは数万ともいわれるライブラリ(開発に役立つプログラムをまとめたもの)が非常に充実しています。
ゼロから開発をすると非常に時間がかかるような処理でも、豊富なライブラリを利用すれば複雑なプログラムでも短期間での開発が可能になります。
そのため、ライブラリが豊富な下記のような分野で多く利用されています。
- AI(機械学習・ディープラーニング)
- データ解析・分析
- スクレイピング
- ブロックチェーン
特にPythonが注目されはじめたきっかけであるAI分野は、世界的に需要が高く、これからの経済の中心になりつつあり、Pythonも将来性の高い言語の一つといえるでしょう。
Pythonのデメリットや苦手な分野は?
そんな、プログラム言語の花形になりつつあるPythonですが、苦手な開発分野も当然あります。
Pythonはインタプリタ言語のため、動作が遅く(他のインタプリタのプログラム言語と比べても遅い部類)、メモリ効率や処理速度が求められるような基幹システムやソーシャルゲームといった分野には向いていないと言われています。
Pythonの副業案件の業務種別と必要なスキル・相場
副業の業務において、高い柔軟性と分かりやすさというPythonの特徴のためか多種多様な分野・規模の案件があります。
すべての業務をこなせるようになるにはかなりハードルが高いため、どのようなスキルが必要になるのか、自分自身に合った案件はどういう案件なのかを考えながらスキルアップを目指しましょう。
ここではPythonが得意な5つの業務の種類に分けて紹介していきます。
人工知能(AI)を利用した機械学習やディープラーニング(深層学習)
PythonといえばAI開発とい言っても過言ではない分野でしょう。
そのため、機械学習やディープラーニング(深層学習)に関する案件は、他のどの言語よりも多く、高単価な案件がほとんどです。
ただこの分野は、プログラム自体の難易度だけでなく、AI自体に対する知識やデータサイエンス・数理科学の知識も求められるため難易度も高く、副業として行うには、実務経験が無いと非常に難しい分野でもあります。
AI・機械学習・ディープラーニング(深層学習)の案件に必要なスキル
AI分野において重要なのが、Pythonの豊富なライブラリやクラウドサービスを使いこなすスキルです。
例えば、機械学習の場合、
- Numpy(ナンパイ)…数値計算ライブラリ
- SciPy(サイパイ)…科学技術計算ライブラリ
- scikit-learn(サイキットラーン)…Numpy、SciPy上で動作する機械学習ライブラリ。「分類・回帰・クラスタリング・次元削減・ハイパーパラメータの最適化」といった機能を持つ
のようなライブラリを使いこなす必要があります。
ディープラーニング(深層学習)においては、上記に加えて、下記のようなライブラリが人気です。
- TensorFlow(テンソルフロー) …Googleが「Google Brain」というプロジェクトで提供しているニューラルネットワークライブラリ
- Pytorch(パイトーチ) …Facebookの人工知能研究グループが開発した機械学習ライブラリ
PythonがAI分野で強いのも様々なライブラリやサービスが充実しているからともいえますが、上記のようなPythonや各種ライブラリの知識だけでなく、機械学習やディープラーニング(深層学習)の考え方を理解するのに必要な数学的な知識も必要になる点には注意しましょう。
機械学習・ディープラーニング(深層学習)での相場
機械学習・ディープラーニング(深層学習)の案件は、Webアプリケーションやツール作成のように固定報酬の案件単位ではなく、月単位の工数での案件が中心になります。
技術力や数学的な知識も必要になるため、フルタイムと同じ時間数であれば月70万円~100万円以上、日給換算でも3万円~5万円以上とかなり高単価な相場と言えるでしょう。
データ分析・解析(ビックデータ)
データ分析・解析(ビックデータ)の案件に必要なスキル
様々なシステムから収集したデータを集計・分析・解析するような業務も、数値計算に強くライブラリも豊富なPythonの得意分野といえるでしょう。
機械学習に必要なスキルで紹介したNumpy(ナンパイ)、SciPy(サイパイ)といったライブラリに加えて、数表や時系列データの解析支援モジュールが豊富なライブラリであるPandas(パンダス)などを活用されています。
ITインフラが整うことで、衣食住の行動履歴の多くがデータとして蓄積されています。
こういったビックデータを活用することはITに関係が薄い分野にとっても非常に重要になるため、ますますニーズは高くなるといえるでしょう。
データ分析・解析(ビックデータ)での相場
AI系の案件と同様に、月単位の工数での案件が中心で単価も高額な相場と言えます。
フルタイムで月70万円~100万円以上、日給換算でも3万円~5万円以上は期待できるでしょう。
AI系の案件よりも、多少ですが単発での案件が多いので、スキルが高いエンジニアにとってはメリットかもしれません。
スクレイピングによる情報収集
スクレイピングとは、データを収集して加工するという意味ですが、IT関係の業務の場合、Webサイトから必要な情報だけを抽出してまとめる技術のことです。
案件として多いのは、特定のサイトやページから情報を収集し、エクセルシートやGoogleスプレッドシートなどに出力してまとめるような案件です。
AI・機械学習・ディープラーニング(深層学習)、データ分析・解析の案件は難易度が高すぎると感じている方には比較的手ごろかもしれません。
スクレイピングに関係する案件に必要なスキル
スクレイピングの対象は基本的にWebサイトになるので、Pythonとそのライブラリの活用スキルに加えて、HTMLやCSSなどの基本的なウェブサイトのスキルが必要になります。
- HTML/CSS の基本的な知識
- Requests …Webサイトの情報を取得するためのHTTPメソッドライブラリ
- Beautiful Soup() …HTMLの内容をCSSセレクターで取得するスクレイピングライブラリ
- Selenium(セレニウム) …ブラウザ操作の自動化ライブラリ。フォーム入力やスクロール、クリック、JSの非同期通信など伴うブラウザ操作によるスクレイピングで使用
スクレイピングに関係する案件の相場
スクレイピングの案件は、ツール作成やデータを取得するところまでといった案件が多いため、固定報酬による単発案件が大半です。
開発案件でも、数か月続くような案件は少ないため、時給・日給ベースが大半です。
ツール作成、データ収集の受注の場合3万円~20万円程度、常駐の開発案件の場合時給換算で3000円~8000円ぐらいまでが多いです。
Webアプリケーション開発
Pythonは、PHPのようにWebサイトをサーバサイドで構築する前提で作られた言語ではないため、前出のスクレイピングやデータの分析結果などを伴うWebアプリのような開発が中心です。
そのため、PythonでのWebサイト制作案件は、PHPやWordpressを使用する案件に比べるとそれほど多くありません。
Webアプリケーション開発に必要なスキル
PythonによるWebサイト・Webアプリケーション開発では、HTML、CSS、JavaScriptに加えてFlaskやDjangoといったフレームワークを使用することが多いです。
また、データベースにためた情報との連携などを行うことが多いので、サーバやデータベースの知識も必要になるでしょう。
- HTML/CSS
- JavaScript
- Flask …必要最低限の機能にこだわったWebアプリケーションフレームワーク。比較的小規模向き
- Django(ジャンゴ) …MVCを基本としたWebアプリケーションフレームワーク。比較的大規模向き
- サーバ、DBの知識
Webアプリケーション開発での相場
PythonでのWebアプリケーション開発は、PHPやWordpressを使った案件に比べるとハードルが高いため、固定報酬での案件はあまり多くありません。
基本的には、時給や日給ベースの案件で時給換算で2500円~6000円ぐらいまでが多いです。
プログラミングスクール等のPythonの講師
Pythonプログラマーのニーズは非常に高いのですが、PHPやJava、C++といった歴史がある言語に比べてプログラマーやエンジニアの数が少ないのが現状です。
そのため、プログラミングスクールや企業でのプログラミング研修等の講師、セミナーのサポート講師などのニーズも高くなっています。
Pythonの講師に必要なスキル
基本的にはこれまで説明してきたPython自体の知識やライブラリの知識が必要なスキルになりますが、特定の分野やライブラリなどだけではなく、浅く広い知識が必要になります。
機械学習等を実務で開発していたというような方は、FlaskやDjangoで簡単なサイトを作ってみるなど、各分野の基礎的な部分は把握しておくようにしましょう。
Pythonの講師の相場
オンラインかオンラインかどのようなテーマの講師かなどで変わりますが、
時給換算で1500円~3000円ぐらいが多いようです。
Python未経験・初心者から副業で稼ぐまでスキルアップするためのロードマップ
ここではPython初心者が副業で簡単な案件を受注できるレベルまでのロードマップについて解説していきます。
Pythonは、小学生・中学生向けの書籍やスクールがあるように比較的学びやすいプログラミング言語ですが、プログラミング経験がない状態から実務レベルとなるとそれほど簡単ではありません。
これまで説明したように、Pythonはライブラリを組み合わせると汎用性が非常に高く、色々な業務に活用できます。
しかしその分、分散しやすく中途半端なスキルばかりで可能な実務がほとんどないという状態になりがちです。
そのため、Pythonの学習を進めるうえでは
- 今何を学習しているのか
- 何ができるようになりたいのか
という2点を常に意識するようにしましょう。
Pythonを実務で使うには、2つの学習が必要
Pythonを実務m特に副業で活用するためには、下記の2つの分野の知識が必要です。
- Python自体のプログラミングとライブラリのスキル
- Webサイト構築のスキル(HTML/CSS/JavaScript/データベース等)
Python単体とライブラリでデータ解析やスクレイピング等を行うことは可能ですが、Webサイト、Webアプリケーションを開発するとなるとHTML、CSS、JavaScript、データベース、サーバといった知識が必要になります。
WordPress等でWebサイトをある程度制作できるような場合は、Pythonの基礎とあわせてFlaskやDjangoといったフレームワークの学習を進めることもよいでしょう。
そうでない場合は、まずは一つ目のPythonとライブラリのスキルアップを進めて、一通りできるようになった段階でWebサイトの構築スキルを積むことが必要です。
オンラインスクール・書籍・Webサイトを活用した学習の仕方
①まずはオンラインスクールや動画で実際の動きを通して確認する
プログラミングを学習する上で最も大事なのは実際にプログラムを作って動かすことです。
しかし、初学者にとって、簡単なものでも動作するプログラムを作ることは非常に難しく、書籍のコードをそのまま実行しようとしても初期設定すらままならないかもしれません。
そのため、まずはyoutubeなどにUPされている動画やオンラインスクールの動画の中で、簡単なプログラミングを書いて実行するような動画を何度も見て、プログラムを作るイメージを刷り込みます。
動画を見ながら、疑問点や疑問に思ったワードをメモしておくと、動画を見終わった後に調べたり、オンラインスクールなら質問をすることで知識を定着できます。
②オリジナルのコードは書かずまずはプログラムを模写しよう
なんとなくプログラムを作るイメージができたら、実際に作成をしてみましょう。
いきなりオリジナルで何かを作ろうとするのではなく、書籍やWebサイトのプログラムを模写して(コピー&ペーストは絶対にしない)、動くプログラムを作ってみましょう。
Webサイトのソースを利用する場合の注意点としては、Pythonのバージョンや使用しているライブラリがすべて網羅されていなかったりと断片的な情報のことが多いため注意しましょう。
特にPythonはバージョン2とバージョン3に互換性がなく、バージョン2のままの情報も多いため事前に確認するようにしましょう。
③ライブラリやPythonのコーディングルールがある程度理解できたらプログラムを改造してみよう
書籍などのコードを動かせるようになったら、新しいライブラリを使って既存のコードの出力結果をグラフ化するといった部分的な機能追加をすこしずつしてみましょう。
④FlaskやDjangoを使いWebアプリケーションを作ってみよう
Pythonの経験が少ない段階での案件は、Webアプリケーションの部分的な制作やスクレイピングなどが中心になると思います。
そのため、機械学習やディープラーニング(深層学習)といった非常に高度な分野に挑戦する前に、成果物として残せるWebアプリケーションをFlaskやDjangoを使ってサンプルアプリを構築してみましょう。
こういった成果物は、クラウドソーシングを通して案件を獲得する際のポートフォリオとしても役に立ちます。
⑤細かい案件をこなしながら自分の得意分野を伸ばしていこう
④の段階でポートフォリオとして公開できるものができれば、副業としての案件獲得もどんどんできるようになります。
ここからは自分自身がやりたい分野、得意分野に注力して経験と知識を積んでいきましょう!
稼げるPythonの副業案件を見つけるには?
これまで説明してきたようにPythonの案件は、単価はもちろん、難易度や受注形態、案件分野など非常にばらつきがあります。
そのため、Pythonで副業案件を獲得する際にも、受注したい案件に適した探し方をするようにしましょう。
クラウドソーシングで案件を探す場合
クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングを使う場合、固定報酬での単発案件がほとんどです。
案件としては、
- スクレイピングツールの作成
- FlaskやDjangoで作成したWebアプリケーションの改修
- Webアプリケーションの自動化ツール
- Pythonで構築されたシステムの移設やサーバ移転
といった案件が多いでしょう。
気軽にエントリーでき、Pythonでの副業の実績を積みたいような段階では有用ですが、その分単価も低く、長期的に稼ぐとなるとすこし難しいかもしれません。
フリーランスエージェントへの登録
2つ目はフリーランスエージェントへの登録です。
自身のレベルに合わせた案件をエージェントが選び、紹介してくれるため、効率的にお仕事を探すことができます。
基本的に、月単位の契約の案件が多いため、安定して稼ぐことが可能です。
確定申告など、税金についてのアドバイスをもらえたり、契約などの事務的な手続きも代行してくれるのも助かりますね。
案件は、Pythonらしい機械学習やディープラーニング(深層学習)、ビックデータの分析といったものが多く単価も高いですが、スキルはもちろん実績や経験なども高いレベルを要求されることが多いため、クラウドソーシングや実務を通して、しっかりと経験を積むことが必要不可欠です。
エージェント選びで失敗しないコツをご紹介していますので、こちらの記事も参考にしてください。
フリーランスのPythonエンジニアとして高収入を目指せる!おすすめのエージェントはどこ?
Pythonプログラマーになるなら今が狙い目!
ここ10年で一気に人気になったPythonは、今後も様々な分野で活用されるはずです。
実務レベルのプログラミングスキルを非常に大変ですが、歴史が長いJavaやC言語などと比べると、Pythonはニーズのわりにプログラマーの数が少ないため、今がねらい目かもしれません。
まずはクラウドソーシングなどで簡単な案件をこなしながら、数年単位でPythonプログラマーとしてのスキルアップを目指しましょう!